祖師ケ谷大蔵 谷村歯科医院 ブログ

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2020年11月15日
歯科治療と金属アレルギー


@teeth_ginba.jpg

こんにちは、谷村歯科医院 院長の谷村です。

金属が体に触れると、皮膚炎などのアレルギー反応を起こすことがあります。
これを 『金属アレルギー』 といいます。
よくあるのが、装飾品(ネックレス・ピアス・イヤリング・指輪・腕輪など)によって皮膚がかぶれる症状です。
皮膚炎以外にも頭痛や肩こりなど、全身に影響が出ることもあります。
この金属アレルギーですが実は歯の治療などで使用するため、治療によって金属アレルギーが出てしまう場合があります。


1 お口の中の金属アレルギーはどうして起こるの?

金属が口の中の唾液に触れると、金属の表面がイオン化されます。このイオン化された金属が溶け出して体のたんぱく質と結合して変性が起きます。この変性したたんぱく質が抗原となってアレルギーが発生します。

ただし、お口の中で使用する金属の合金は含有量が厳密に日本の医療法によって定められているので、どんな金属を使用しているのかわからない安価なアクセサリーなどと比べると金属アレルギーが発生する可能性はとても低いです。
しかし、お口の中は常に水分があるために金属がイオン化されやすく、まれに金属アレルギーが発生することがあります。


2 お口の中の金属が原因のアレルギー症状は?

お口の中の症状として代表的なものは、口内炎や歯肉炎です。他にも口唇炎、舌炎、味覚障害があります。
全身的には、湿疹、頭痛、肩こり、めまい、免疫障害などがあります。


3 歯科で使われている金属にはどのようなものがあるの?

一言で歯科用の金属といっても様々なものがあります。
一番オーソドックスなものは、金銀パラジウム合金という健康保険が適応されている合金で、いわゆる 『銀歯』 となります。
虫歯治療のあとの詰め物やかぶせ物、ブリッジに使用されます。
ほかにもかぶせ物の中に使われる土台(コア)に使われる、 『銀合金』 があります。
さらに保険外治療で使われる、 『白金加金合金(プレシャスメタル)』 があります。

他には歯に使うものではありませんが、失った歯の代わりの治療でインプラントに用いられる、純チタンやチタン合金、入れ歯のバネや保険外の入れ歯に用いられるコバルトクロム合金・チタン合金があります。
また矯正治療でもワイヤーや歯を動かすためにあごの骨に直接打ち込むネジに金属が使われています。

外科処置においては、交通事故で顎が砕けたり、変形症の手術時に固定用の金属製のボルトを使用します。
これらは口の中というより、骨に直接固定して埋め込むために、人工関節と同じで金属アレルギーが一番少ないチタンを使用します。

また、以前は虫歯治療には、水銀をほかの金属と混ぜて使用していました。
これを 『アマルガム』 といい、70年代から80年代にかけて樹脂による治療方法がなかった時代に、簡便で安価な治療方法として多用していました。(正式名称は『歯科用水銀アマルガム』 といいます)
アマルガムは、銀とすずの合金に水銀混ぜてを、それを専用の撹拌機で混ぜあわせます。
すると金属が粘土状になるので、それを虫歯を取り除いた隙間に詰めていきます。
その後は1日たつと硬化するので、後日高さを調整して表面を磨いて完成となります。
実際には診療所では後日の調整はせず、詰めて終了にするのがほとんどでした。

アマルガムは数年前まで健康保険適用の治療方法として使用が可能でしたが、さすがに使用不可になる直前ではアマルガムで治療している歯科医院はあまりなかったようです。
アマルガムに使用されているのは無機水銀(炭素を含まない水銀)で、過去に公害病の一つであった水俣病の原因の有機水銀(炭素を含む水銀、この場合はメチル水銀)ではありません。
この無機水銀ですが、直接すぐに体調不良になることがなかったので、大問題にはなりませんでしたが、実際には長年にわたって水銀が溶け出して腎臓や肝臓に蓄積されて健康被害をもたらします。
具体的にはアトピー様皮膚炎や味覚異常、精神疾患(イライラや不眠など)の原因になったりします。


4 歯の治療方法は何を選べばいいの?

人の体の中でも歯という組織は再生されないため、虫歯になってしまったら削って人工的な素材で補う必要があります。
しかし奥歯では噛む力に耐えられるような強度が必要で、そのため今でも金属が歯の治療に使用されています。
噛むのに耐えられない素材だとすり減ったり取れたりして、お口の全体のかみ合わせがくるってきてしまいます。
そうなると元に戻すことは非常に困難で、将来お顔の形が変わったり、ほうれい線が深くなってお年寄りの顔つきになったり、慢性の頭痛、肩こりが起きるようになってしまいます。
このような理由から当院では、すり減る可能性のある樹脂は奥歯の噛むところには使用しておりません。
健康保険での治療では、当院では安全面での基準を満たしている金銀パラジウム合金を使用しています。
なお、一番安価な銀合金も健康保険で認められておりますが、当院では土台に使用する以外は黒変したりすり減る可能性が高いので、つめ物やかぶせ物としては使用していません。

健康保険外での治療では、白金加金合金を使用した治療があります。
見た目はやや金色がありますが、合金の硬さが歯に近く、また錆びることがほとんどないので、治療したのにまた虫歯になる、いわゆる2次虫歯の発生を抑えることができます。

また近年は、固いが衝撃にもろかった 『セラミック』 が改良されてとても頑丈になり、審美の改善からも多用されるようになりました。
当院では保険外治療では実際は白金加金合金はほとんどなく、皆さんセラミックによる治療を選ばれています。
またセラミックを使用すると、審美の改善だけでなく材質の劣化やしみたり、2次虫歯の発生もほとんどないためおすすめしております。
さらにセラミックの詰め物やかぶせ物は、専門の知識と技術を持った歯科技工士さんが一つ一つ丁寧に作成しています。
セラミック治療はどうしても費用が掛かるのですが、長期的にみると保険治療の金属や樹脂よりもずっと長持ちするため、結果的には満足感があったりお得になる場合があります。
セラミック治療はアトピーや花粉症などのアレルギーがある方にもおすすめです。

なお、もしも昔の治療で水銀を使用したアマルガムがお口の中にある場合は、痛みがなくても健康被害の原因になるため、ほかの歯科材料に置き換えることを強くお勧めします。


歯は一生使う自分の大切な体の一部です。
虫歯になってしまったら治療が必要ですが、残念ながら歯を再生する治療方法はありません。
歯科医師や歯科衛生士とよく相談の上、いつまでも健康で美しい歯を手に入れて豊かな人生を手に入れてください。


 

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