【歯科医師解説】治療した銀歯や被せ物が取れるのはなぜ?お口の過酷な環境による経年劣化・二次むし歯の仕組みと応急処置

こんにちは、谷村歯科医院 院長の谷村 将光です。
今回は、むし歯治療のあとにお口の中へ装着した『詰め物(インレー)や被せ物(クラウン)といった人工の修復物が、なぜ年月が経つと外れてしまうのか』という原因と、万が一取れてしまった際の正しい対処法について詳しくお話しいたします。
歯科医院でむし歯を削り、銀歯などの詰め物や被せ物が入って治療が完了すると、「これでこの歯は完全に治ったから、もう一生むし歯にはならないし安心だ!」と思われる方が少なくありません。 しかし、実はお口の中に入れた人工の修復物には「永久に使える一生もの」ではないという現実があり、一定の寿命(耐用年数)が存在します。
1. お口の中は想像以上に過酷!保険の修復物の寿命は「約7〜10年」が目安
治療したばかりのときは、ご自身の歯に寸分の狂いもなくぴったりと適合していた詰め物や被せ物であっても、毎日休むことなく使い続けるうちに、少しずつ経年劣化が進んでいくことは避けられません。
なぜなら、私たちのお口の中は人工の素材にとって「想像を絶するほど過酷な環境」だからです。 冒頭のイラストにある通り、お口の中には氷やかき氷のような「氷点下の冷たいもの」から、熱々のラーメンやお茶といった「60度以上の熱いもの」までが次々と入ってきます。さらに、炭酸飲料や柑橘類、お酢などの強い「酸」やだ液(水分)に常にさらされ続け、そのうえで毎日数千回に及ぶ食事のたびに、ご自身の体重にも匹敵する数十キログラムもの「噛む力(咬合力)」を受け止めているのです。
もちろん、使用している修復物の素材(保険の金属・プラスチックか、自費のセラミックか)や、患者さまの噛み合わせのクセ、日ごろの歯みがきの状況によっても大きく異なりますが、歯科の統計的な調査によると、健康保険の診療で作られた金属の詰め物・被せ物(銀歯など)は、装着してから『おおよそ7年〜10年程度』が寿命(作り替えが必要になるひとつの目安)という見解が示されています。
2. なぜ突然ポロッと取れるの?詰め物・被せ物が外れる「3大原因」
お食事中などに突然、詰め物や被せ物がポロッと外れてしまう背景には、主に次の3つの原因が隠れています。

① 歯と修復物をつなぐ「接着剤(歯科用セメント)」の経年劣化
1つ目の原因は、ご自身の歯と人工の修復物の間を固定している『歯科用接着剤(セメント)』の劣化です。 先ほどお話しした毎日の激しい温度変化(熱膨張と収縮)や、噛む力によるたわみ、そして常にだ液に触れ続ける環境によって、歯と修復物の間にあるセメントは長い年月をかけて少しずつ溶け出したり、細かく砕けたりして劣化していきます。
これにより、最初はぴったり塞がっていたはずの歯と修復物の境目に、目に見えないほどのわずかな「すき間(段差)」が生じるようになります。このすき間が徐々に広がることで保持力が弱まり、キャラメルやガム、お餅のような「粘着性の強い食べもの」や、おせんべいなどの「硬い食べもの」を噛んだふとした拍子にポロッと外れてしまうのです。
② すき間から細菌が侵入して起こる『二次むし歯(再発)』
2つ目の、そして歯科医師として最も警戒すべき原因が、修復物の真下でひそかに進行する『二次むし歯(二次う蝕)』です。 劣化したセメントのわずかな「すき間」は、むし歯菌にとって絶好の侵入口となります。歯ブラシの毛先が絶対に届かない詰め物や被せ物の内部へと細菌が入り込み、見えない場所で再びむし歯を作り出してしまうのです。
この二次むし歯が進行すると、内側から歯質が溶かされて軟らかくなり、修復物を支えている土台の歯の形そのものが崩れてしまうため、結果として詰め物や被せ物が支えを失って外れてしまいます。
③ 無意識の「歯ぎしり・食いしばり」による過剰な負担
3つ目の原因は、就寝中の無意識の『歯ぎしり』や、日中に強い力で歯を噛みしめる『食いしばり』です。 通常の食事で噛む力とは比較にならないほどの強大な横揺れの力や圧力が、毎日繰り返し歯や修復物に加わり続けることで、セメントが破壊されて外れやすくなったり、修復物そのものがすり減って穴が開いたり、割れたり・欠けたりする原因となります。
3. 「痛くないから」と放置するのは絶対NG!取れた時の正しい対処法
詰め物や被せ物が外れてしまったとき、「特にしみたり痛んだりしないし、仕事が忙しいからしばらくこのままにしておこう」と、歯科医院への受診をつい後回しにしてしまう方がいらっしゃいます。
しかし、外れたままの状態で1週間、1ヶ月と放置してしまうことは非常に危険です。 詰め物や被せ物が外れた部分の歯は、一番外側の硬い鎧である「エナメル質」がすでに削られており、むし歯菌の酸や刺激に対して極めて弱い内部の『象牙質(ぞうげしつ)』や、神経に近い部分がむき出しの無防備な状態になっています。
そのまま放置すると、以下のような深刻なトラブルが一気に進行してしまいます。
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むき出しになった穴に食べかすが詰まり、通常の何倍ものスピードでむし歯が神経まで深く進行する
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残っている薄い歯の壁が食事中にパキッと欠けたり割れたりして、最悪の場合は「抜歯」になる
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外れたスペースに向かって隣の歯が倒れ込んだり、噛み合う反対の歯が伸びてきたりして、お口全体の「噛み合わせ」が崩れてしまう
外れた修復物は捨てずに「チャック付きの袋」やケースに入れてご持参ください!
もし詰め物や被せ物が外れてしまった際は、決してご自身で市販の瞬間接着剤などを使って戻そうとせず(歯の神経を傷めたり、噛み合わせが狂って外せなくなったりするため大変危険です)、できるだけ早く歯科医院をご予約ください。

その際、外れた詰め物や被せ物は、内部にむし歯がなく変形もしていなければ、歯科医院で綺麗に消毒・清掃したうえで「そのままもう一度接着して付け直せる」場合もあります。 ただし、ティッシュペーパーに包んでポケットやバッグに入れておくと、ゴミと間違えて捨ててしまったり、上から力が加わって変形してしまったりすることが多いため、イラストのように「チャック付きのビニール袋」や「小さなタッパー・お薬ケース」などに入れて大切に保管し、受診時に必ずお持ちください。
4. 定期検診でのチェックと、すき間ができにくい『セラミック治療』のご相談も当院へ
詰め物や被せ物のセメントの劣化や、その下で静かに進行する「二次むし歯」は、外れる直前まで痛みなどの自覚症状がほとんど出ないため、患者さまご自身では気づきにくいケースが少なくありません。
大きなむし歯になって神経を抜くようなトラブルを未然に防ぐためにも、痛みがなくても3ヶ月に1回程度は歯科医院で定期検診を受け、過去に入れた修復物に「すき間」や「段差」「二次むし歯」ができていないかをプロの目でチェックしておくことがとても大切です。
また、当院(谷村歯科医院)では、外れてしまった修復物の付け直しや保険診療での再作製はもちろんのこと、「何度も同じ銀歯が外れてしまう」「次は二次むし歯になりにくく、長持ちする白い歯にしたい」という患者さまに向けて、歯と分子レベルで強力に接着してすき間ができにくい高精度な『セラミックインレー・クラウン』や『ジルコニア』による審美・補綴治療も幅広くご提供しております。
「詰め物が取れてしまった!」「昔入れた銀歯の周りが黒っぽくなっていて心配」という方は、放置せずどうぞお早めに谷村歯科医院までご相談ください!
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