インプラントのセミナーに参加しに広島に行ってきました!
こんにちは、谷村歯科医院 院長の谷村です。
今回は、先日参加してきたインプラントのハンズオンセミナーについて、少し詳しくご報告したいと思います。
普段の診療とはまた違った視点で学びを得られる貴重な機会でしたので、患者さまにも 「休診日には、こんな勉強をしているんだな」 と知っていただけたら嬉しいです。
広島で開催されたインプラントのハンズオンセミナー
昨日、『インプラントのハンズオンセミナー』に参加するため、広島まで行ってきました。
インプラント関連のセミナーは東京でももちろん頻繁に開催されていますが、今回は私の師匠の先生が長年使用しているインプラントメーカーが主催するセミナーで、しかも広島での開催ということで、『これはぜひ参加したい』と思い、急遽申し込みをしました。
前日の夜に診療が終わってその足で東京を出発し、広島まで移動。当日会場に到着すると、全国各地から集まった先生方がすでに多数いらっしゃり、みなさん真剣な表情で準備をされていました。
セミナーは座学だけでなく、実際に模型を使ってインプラントを埋入する実習(ハンズオン)がメインですので、机の上にはインプラント体や器具、ドリル、縫合用の道具などがずらりと並び、まさに『インプラントづくしの一日』といった雰囲気でした。
インプラントは100種類以上もある?
歯科用インプラントの種類は、国内メーカーと海外メーカーを合わせると、現在では100種類以上もあると言われています。
一見するとどれも似たように見えるかもしれませんが、実際にはネジの構造や表面加工、太さや長さ、骨との結合の仕方など、それぞれのメーカーごとに工夫が凝らされています。
今回のセミナーでは、アメリカの『スプライン(Spline)』というメーカーのインプラントシステムについて学びました。
スプラインインプラントは、特に『ネジの構造』が独特で、連結部分が緩みにくいように設計されているのが大きな特徴です。
インプラントは3つのパーツでできている
インプラント治療というと、『顎の骨にチタンのネジを埋め込む』というイメージをお持ちの方も多いと思いますが、実はインプラントは大きく分けて3つのパーツから構成されています。
- 顎の骨に埋め込む本体(インプラント体)
- その上に立てる土台(アバットメント)
- 最終的にお口の中で見える被せ物(人工の歯・クラウン)
インプラント体は一度骨としっかり結合してしまえば、通常は緩んだり動いたりすることはほとんどありません。
問題になりやすいのは、その上に取り付ける土台や被せ物の部分です。
土台と被せ物は、特殊なネジを使って固定されるのですが、このネジをただ手で締めるだけだと、長年の使用の中で少しずつ緩んでしまうことがあります。
そこで、締め付ける力(トルク)をコントロールできる専用の電動ドライバーを使い、決められた強さでネジを締めることで、緩みにくくなるよう工夫されています。
それでも、噛む力の強い方や、長期間経過したインプラントでは、ネジが緩んでしまうケースがゼロではありません。
今回学んだスプラインインプラントは、そのネジ部分の構造が従来とは少し異なっていて、理論上はより緩みにくい構造になっているとのことでした。
実際の症例の経過も見せていただき、とても興味深い内容でした。
インプラントメーカーごとの勉強が必要な理由
実は、歯科用インプラントはメーカー同士の互換性がほとんどありません。
ネジの形やサイズ、器具の規格などがメーカーごとに異なっているため、『どのメーカーでも同じ道具で大丈夫』というわけにはいかないのです。
そのため、新しいインプラントシステムを導入しようと思った場合は、必ずそのメーカーのセミナーや講習会に参加し、器具の扱い方や埋入手順、注意点などをしっかり学ぶ必要があります。
現在、インプラントの基本的な術式はほぼ確立されていて、大まかな流れはどのメーカーでも大きくは変わりませんが、骨の状態や歯ぐきの厚みなど、個々の症例に応じてミクロン単位の精度が求められる世界ですので、やはり細かな違いを理解しておくことがとても重要です。
広島までは東京から距離がありますが、こうした新しい情報を得るためには、全国どこであっても足を運ぶ価値があると考えています。
実際には、講習会やセミナーの多くは東京や大阪などの都市部で開催されることが多いのですが、今回のように地方でのセミナーに参加することで、その地域ならではの先生方との交流ができるのも、大きな魅力のひとつだと感じました。
今まで参加してきたインプラントセミナー
これまでにも、私は様々なインプラントシステムのセミナーに参加してきました。
代表的なものとしては、世界的にもシェアの高い『ITIインプラント』、国内メーカーである京セラの『POI EXシステム』などがあります。
現在主流となっているインプラントはネジのような形をしていますが、20年以上前には、櫛(くし)の歯のような形をしたインプラントが使われていた時代もありました。
時代とともにインプラントの形や表面処理の技術は進化しており、『いかに骨と安定して長く共存できるか』『いかにトラブルを少なくできるか』を目指して、さまざまな改良が重ねられてきました。
勤務医時代に学んだインプラントの基礎
私が開業する前に勤務していた、東京・浜松町の世界貿易センタービル内の歯科医院では、院長先生がインプラント専門の先生でした。
その先生は、日本におけるインプラント治療の初期の創成期から携わってこられた方で、国内でのインプラント治療の歴史をつくってきたメンバーの一人でもあります。
その先生のもとで、多くのインプラント症例や、難しいケースの治療、長期経過を追っている患者さまの経過観察などを間近で見ることができたのは、私にとって非常に貴重な経験でした。
インプラント治療は、『埋めて終わり』ではなく、その後のメインテナンスや噛み合わせの調整などを含めて長くお付き合いしていくことが大切です。
その考え方の基礎は、この勤務医時代に学んだものが今も生きています。
今回のセミナーで得られたもの
今回のインプラントセミナーは、参加して本当に良かったと感じています。
講義では、スプラインインプラントの特徴や臨床での実際の使用方法、注意点などを詳しく聞くことができ、
実習では、模型を使って実際にインプラントを埋入するトレーニングや、縫合の練習など、非常に充実した内容でした。
参加されていた先生方は、若い先生からベテランの先生まで幅広く、皆さん真剣な表情で取り組んでおられました。
インプラント治療は高度な技術が要求される外科手術でもあるため、参加されている先生は男性が多い印象でしたが、最近は女性歯科医師の参加も少しずつ増えてきているように感じます。
講師の先生は、自己紹介の際に初めて知ったのですが、東京・目黒で開業されているインプラント専門医の先生でした。
私が『東京から広島まで来ました』とお伝えすると、とても驚かれていました。やはり、東京の先生が地方のセミナーに参加することはあまり多くないようです。
セミナー後には、講師の先生と個別にお話しする機会もあり、当院で扱っている症例の相談や、今後のインプラント治療の方向性についてアドバイスをいただくこともできました。
後日、メールでも質問に答えていただき、とても心強く感じています。
インプラント治療の役割と責任
インプラント治療は、『歯がしっかり残っている方』にとっては必要のない治療です。
しかし、むし歯や歯周病、外傷などで歯を失ってしまった方にとって、『しっかり噛むことができない』という状態は、精神的にも肉体的にも非常に大きな負担となります。
『人前で笑えない』『硬いものが食べられない』『入れ歯が合わなくて痛い』といった悩みを抱えて来院される患者さまは少なくありません。
そうした方に対して、インプラント治療はしっかりと噛める機能を回復し、自信を持って笑える口元を取り戻すための、非常に有効な選択肢の一つです。
もちろん、インプラント治療には外科的な処置が必要であり、治療期間も数ヶ月に及び、費用的な負担も決して小さくはありません。
術前の検査やシミュレーション、治療計画の立案、手術の精度、術後のメインテナンスなど、どの段階も手を抜くことができない治療です。
私たち歯科医師にとっても、インプラント治療は常に新しい知識と技術のアップデートが求められます。
そのため、このようなセミナーや講習会への参加は欠かすことができませんし、患者さまに安心して治療を受けていただくためにも、日々勉強を続ける必要があります。
これからも患者さまのために
今回の広島でのハンズオンセミナーは、私にとって非常に刺激的で、学びの多い一日となりました。
新しいインプラントシステムについての理解が深まっただけでなく、全国の先生方との交流を通して、多くの気づきやヒントを得ることができました。
インプラント治療は、すべての方に必要な治療ではありませんが、必要としている方にとっては、人生を大きく前向きに変える力のある治療だと感じています。
その分、責任も大きい治療ですので、一つひとつの症例に真剣に向き合いながら、これからも日々精進していきたいと思います。
当院では、インプラント治療についてのご相談も随時受け付けております。
『自分にはインプラントが合うのか知りたい』
『今の入れ歯に悩んでいる』
『ブリッジ以外の選択肢を知りたい』
など、気になることがあれば、どうぞお気軽にご相談ください。
今回学んだこともしっかりと診療に還元しながら、これからも皆さまのお口の健康を守るお手伝いができればと思います。
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