【歯科医師解説】歯周病が寿命を縮める?放置してはいけない歯と全身疾患の深い関係

こんにちは、谷村歯科医院 院長の谷村です。

今回は『歯と全身疾患の関係』についてお話しします。

お口は、私たちが生きていくための「食べ物」を最初に取り込む重要な器官です。近年、このお口の中の環境が、全身の健康状態や重大な病気と極めて深く関係していることが医学的に解明されてきました。

特に虫歯や歯周病を放置していると、命に関わる病気のリスクが跳ね上がってしまいます。 「たかが歯の痛み」「少し歯茎から血が出るだけ」と軽視せず、全身の病気が悪化して取り返しがつかなくなる前に、その恐ろしい繋がりを知っておきましょう。

歯周病菌が引き起こす・悪化させる4つの重大疾患

お口の中の細菌(特に歯周病菌)が血管や気管を通じて全身を巡ることで、以下のような様々な病気のリスクを高めます。

1. 心筋梗塞・狭心症などの「心疾患」

お口の中に虫歯や歯周病があると、その原因菌が歯茎の傷口から血管内に入り込みます。血流に乗って心臓まで運ばれた細菌は、心臓の血管に炎症を起こし、動脈硬化や心筋梗塞を引き起こす原因となります。 事実、歯周病に罹患している人が心臓の病気で死亡する確率は、歯周病がない人の2~3倍に跳ね上がるというデータがあります。まさに「歯周病が寿命を縮める」と言っても過言ではありません。

2. 糖尿病(相互に悪化させる関係)

糖尿病になると、免疫力(病気に対する抵抗力)が低下するため、歯周病になる確率が健康な人の約2倍に上がります。糖尿病の方の歯茎は慢性的にブヨブヨと腫れていることが多く、ブラッシングだけではなかなか治りません。 また、傷の治りも悪くなるため、抜歯やインプラントなどの外科処置を行う際には細心の注意が必要です。糖尿病が進行すると失明や手足の壊死(えし)といった深刻な合併症を引き起こすため、医科と連携したお口の管理が不可欠です。

3. 誤嚥性(ごえんせい)肺炎

お口の中の細菌が、食べ物や唾液と一緒に誤って気管から肺に入り込んでしまうことで引き起こされる肺炎です。 飲み込む力や抵抗力が弱まったご高齢の方に非常に多く、歯周病があるご高齢者の誤嚥性肺炎での死亡率は高くなっています。頻繁にむせたり、咳き込んだりする場合は、医科を受診するとともに、歯科医院でお口の中の細菌(歯垢・歯石)を綺麗に取り除いてもらうことが最大の予防になります。

4. 早産・低体重児出産

妊婦さんが歯周病にかかっていると、血流に乗った歯周病菌が子宮や胎盤に感染し、早産や低体重児出産を引き起こすリスクが高まると考えられています。 また、生まれたばかりの可愛い赤ちゃんのお口の中には、元々虫歯菌や歯周病菌はいません。出産後に親御さんが口移しで食べ物を与えたり、キスをしたりすることで細菌が感染してしまうため、妊娠中からご両親でお口の環境を清潔に整えておくことが大切です。

「歯を失うこと」が全身にもたらす悪影響

虫歯や歯周病の悪化によって歯を失ってしまうと、病気だけでなく、見た目や日々の生活(QOL)にも大きな悪影響を及ぼします。

  • 外見への影響: 口周りのシワが増え、実際の年齢よりも老けて見えるようになります。

  • コミュニケーションの低下: 滑舌が悪くなり、人と話すのが億劫になってしまいます。

  • 肥満や認知機能の低下: よく噛めないことで食べ物を丸飲みするようになり、肥満を招いたり、脳への刺激が減って働きが鈍くなったりします。

  • 運動機能の低下(寝たきりリスク): 「噛む力」が衰えると、踏ん張りがきかなくなり足腰の筋肉も衰えてしまいます。実際に、寝たきりの方における「無歯顎(自分の歯が1本もない状態)」の割合は非常に高く、ご自身の足で歩き、自立した健康な生活を送るためには「歯を残すこと」が極めて重要なのです。

まとめ:全身の健康は「お口のケア」から!

このように、お口の中の環境は全身の状態とダイレクトに繋がっています。 いつまでも健康で長生きするためには、毎日の正しい歯磨きと、歯科医院での定期的なメンテナンスでお口の環境を整えることが最も効果的な予防医療です。

「歯や歯茎が悪くても、痛くないから大したことない」と思わず、歯磨き時の出血など、何かいつもと違うと感じたらすぐに当院をご受診ください!

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