【歯科医師解説】正しい歯磨きの方法と歯ブラシの選び方!虫歯・歯周病を防ぐ基本

こんにちは、谷村歯科医院 院長の谷村 将光です。

皆さん、毎日の歯磨きはしっかりと行っていますでしょうか? 子供の頃は、親に言われてなんとなく渋々磨いていた…という方も多いかもしれません。しかし大人になった今、毎日しっかりと正しい方法で磨き続けないと、あっという間に虫歯や歯周病になってしまい、最終的には大切な歯を失うことになりかねません。

歯磨き(ブラッシング)は、お口のケアにおける「基本中の基本」です。 この歯磨きがおろそかになっていたり、自己流でしっかりと磨けていなかったりすると、どんなに定期的に歯科医院へ検診に通って最新の治療を受けていても、再び虫歯や歯周病が再発してしまいます。

歯ブラシの毛先を使って、物理的に歯や歯茎にこびりついた「歯垢(プラーク=細菌の塊)」をこすり落とすことは、非常に効率的で理にかなった最高のお口のケアなのです。 最近は優秀なマウスウォッシュ(洗口液)などもたくさんありますが、基本となる正しい歯ブラシの使い方をマスターしなければ、十分な効果は得られません。今回は、そんな「正しい歯磨きの方法」について詳しくご説明いたします。

1. どんな歯ブラシを選べばいいの?

薬局やスーパーのデンタルケアコーナーに行くと、ものすごい種類の歯ブラシがズラリと並んで売られているので、一体どれを買っていいのか迷ってしまいますよね。

皆さんそれぞれ「この形が好き」というお気に入りの歯ブラシがあるとは思いますが、結論から言うと「ご自身のお口のサイズに合い、一番効率よく歯垢を除去できる歯ブラシ」が、あなたにとっての『良い歯ブラシ』になります。

一昔前は、「天然の豚の毛でできた歯ブラシが良い」とか、「予防歯科の先進国である北欧(スウェーデンなど)製の歯ブラシが優れている」などと言われていた時代がありました。 しかし、動物の毛(豚毛など)は乾きにくく、毛の中に細菌が繁殖しやすいため、歯垢を落とすどころか非常に不衛生になりがちです。また、スウェーデンなどの欧米製の歯ブラシは、欧米人の大きな骨格に合わせて作られているためヘッドが非常に大きく、日本人がそのまま使うと細かい部分に毛先が届かず、かえって歯や歯茎を傷つけてしまう原因になります。

【正しい歯ブラシの選び方のポイント】

  • 硬さ: 基本的には「ふつう」か「やわらかめ」をおすすめします。ただし、女性やお年寄りでなかなか握る力が入らず、磨き終わっても歯の表面のザラザラやヌルヌルがどうしても取れないという方に限っては、「かため」を使用して効率を上げた方が良い場合もあります。

  • 大きさ(ヘッド): 歯ブラシの頭の部分(ヘッド)は、大きすぎないものを選びましょう。小回りの利く「コンパクトヘッド」を選ぶことで、奥歯の裏側や狭い隙間までしっかりと毛先が届きます。(山切りカットなどの特殊な形状よりも、まずはヘッドの小ささを重視してみてください)

  • 子供用の場合: お子様の場合は、まだ手先の細かい動きが難しく歯ブラシをしっかりとグリップさせられないため、持ち手(ハンドル部分)が少し太めで握りやすいものを選んであげましょう。

2. 正しい歯の磨き方のコツ(力加減と動かし方)

歯磨きで最も注意していただきたいのが「力の入れすぎ」です。

現代人は朝の準備などでとても忙しいため、つい力を込めて「シャカシャカシャカ!」と勢いよく1分ほどで終わらせてしまっていませんか? 実はその時の歯ブラシの圧力は、歯や歯茎にとってかなり「過剰な力」になっています。

強すぎる力で毎日こすり続けていると、歯茎が削り取られて退縮し(下がってしまい)、歯の根元が露出してしまいます。歯茎が常に擦りむいたような状態になるため、触れると痛かったり、冷たいものや刺激物が「キーン」としみる知覚過敏を引き起こしてしまいます。ひどい場合には、歯の根元がノコギリで引いたように数本まとめて深く削り取られてしまうこともあります。

【力加減の改善テクニック:ペングリップ】 ご自身で「いつも力を入れすぎているな」と感じている方は、歯ブラシの持ち方を「鉛筆を持つような握り方(ペングリップ)」に変えてみてください。これだけで余計な力が抜け、歯や歯茎への無理な負担が驚くほどかからなくなります。

【歯ブラシの動かし方】 歯ブラシは、横に「小刻みに」動かすのが基本です。大きくゴシゴシとスライドさせるのではなく、毛先を歯の表面から離さないように、細かくブルブルと振動させるようなイメージで丁寧に磨いてみてください。 大きく動かしてしまうと、一番汚れが溜まりやすい「歯と歯の間」や「歯と歯茎の境目」を毛先が飛び越えてしまい、肝心な部分の汚れが全く落ちません。

また、下の前歯の裏側などはカーブがきつく狭いため、歯ブラシを横にして動かすのが非常に困難です。その場合は、歯ブラシを「縦」に持ち替え、毛先の「かかと」や「つま先」を使って、お口の外に向かって汚れを掻き出すように動かしてみてください。

【うがいは少量の水で軽く! 歯磨き粉を使用すると、ミントの爽快感でお口の中がサッパリするため、実際には汚れが落ちていなくても「磨けた気」になってしまう落とし穴があります。 しっかりと磨けたか不安な場合は、汚れを赤く染め出す「歯垢検知薬」を使って確認することをおすすめします。ご自身がどこを磨き残しやすいのかが一目でわかります。(※当院の待合室にもご自由にお持ちいただける歯垢検知薬をご用意しておりますので、ぜひお家でお試しください。衣服につかないようご注意くださいね) また、歯磨きの後のうがいは、歯磨き粉に含まれるフッ素などの有効成分を洗い流してしまわないよう、少量の水で1〜2回「軽く」ゆすぐ程度にとどめるのが効果的です。

3. 歯垢(プラーク)が残りやすい「3つの危険地帯」

歯垢が残りやすい場所=「虫歯や歯周病になりやすい場所」です。 お口の中で特に注意して細かく丁寧に磨くべきポイントは以下の3箇所です。

  • 歯と歯の間

  • 歯と歯茎の境目(歯周ポケット付近)

  • 奥歯の噛み合わせの溝

この3箇所は、どんなに時間をかけて丁寧に歯ブラシを当てても、毛先だけでは完全に歯垢を落とし切ることはできません。そのため、1日1回は歯ブラシと合わせて「デンタルフロス(糸ようじ)」「歯間ブラシ」といった補助清掃用具を必ず併用するようにしましょう。

迷ったらプロ(歯科衛生士)にご相談を!

「毎日頑張って磨いているのに虫歯になってしまう」「自分に合った歯ブラシがわからない」とお悩みの方や、歯垢がかなり残ってしまっている方には、当院の歯科衛生士が患者さま一人ひとりのお口に合わせた「正しいブラッシングの仕方」を丁寧にご指導いたします。

歯科衛生士はお口のケアと歯磨きのプロフェッショナルです。歯磨き粉の選び方からフロスの通し方まで、お口の健康を守るための疑問があれば何でもお気軽にご質問くださいね。

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