【歯科医師解説】電動・音波・超音波はどう違う?あなたに合った歯ブラシの種類と選び方

こんにちは、谷村歯科医院 院長の谷村 将光です。
毎日の歯のお掃除といえば、なんといっても『歯ブラシ』が主役ですよね。 しかし、一言で歯ブラシといっても、薬局や家電量販店に行くと、形やヘッドの大きさ、毛の材質や硬さなど、本当に様々な種類のものがズラリと並んでいます。また、自分の手で動かして磨くオーソドックスなものから、電動で動くものまであり、さらにその「電動」の中にもいくつもの異なる仕組みが存在します。
「結局、どれを買えば自分の歯を一番綺麗にできるの?」と迷ってしまう方も多いのではないでしょうか。今回は、そんな奥深い『歯ブラシの種類と選び方』について、詳しくご説明していきます。
1. 歯のお手入れに使うアイテムには何がある?
歯ブラシのお話に入る前に、まずは日常的にお口のケアで使用する様々なアイテムを整理してみましょう。ご家庭でのお手入れ(セルフケア)に使うものには、主に以下の6つがあります。
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歯ブラシ(プラーク=歯垢を物理的にこすり落とす主役)
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歯磨き粉(フッ素による虫歯予防や、着色汚れを落とすサポート役)
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歯間ブラシ(歯と歯の間の広い隙間を掃除する小さなブラシ)
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デンタルフロス/糸ようじ(歯と歯の狭い接触面の汚れをこすり落とす糸)
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ウォーターピック(強い水流で隙間の汚れを弾き飛ばす洗浄器)
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デンタルリンス/洗口液(殺菌成分などでお口の中全体をゆすぐ液体)
また、これらに加えて、私たち歯科医院では専用の超音波スケーラーや研磨用の機械など、さらに専門的な器具を使ってプロのお掃除(プロフェッショナルケア)を行っています。 お口の健康を守るためには、実にお口の中の状況に合わせた多くの道具が存在していることがわかりますね。
この中で最も基本となる「歯ブラシ」の最大の目的は、食べかすや歯垢(プラーク)を取り除くこと、歯の着色(ステイン)を落として白く保つこと、歯肉を適度にマッサージして血行を良くすること、そして口臭を根本から取り除くことです。
2. 歯ブラシの「4つの種類」とそれぞれの特徴
大きく分けると「手用」と「電動」に分かれますが、電動歯ブラシはその駆動する仕組み(機能)によってさらに細かく分類されます。それぞれの特徴をしっかりと理解しておきましょう。
① 手用歯ブラシ(基本中の基本)
ご自身の手で動かして磨く、最も一般的なタイプの歯ブラシです。薬局などで数百円から手軽に購入できます。 【選び方のポイント】
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大きさ: できるだけ小回りの利く「コンパクトヘッド」を選びましょう。ネック(首の部分)が細いものの方が、狭い奥歯の裏側までしっかりと届きやすいです。
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毛先の形: 平らに切りそろえられているものや、山切りカットのものなどがありますが、清掃効率に極端な大きな差はありません。ご自身が歯面に当てやすいと感じるものを選んで大丈夫です。
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毛の硬さ: 基本的には「やわらかめ」または「ふつう」をお勧めします。現代人は朝の忙しい時間帯などに、無意識のうちにかなり強い力(オーバーブラッシング)でゴシゴシと磨いてしまっている人が非常に多いためです。硬い毛で強く磨きすぎると、歯茎が削れて下がってしまったり、歯の根元がえぐれて知覚過敏になったりします。 (※ただし、女性やご高齢の方などで極端に磨く力が弱く、磨き終わっても歯垢のヌルヌルがどうしても落ちないという方に限っては「かため」を選んで効率を上げるのも一つの方法です。)
② 電動歯ブラシ(お手軽で効率的)
ヘッド部分に内蔵されたモーターによって、毎分2,500回〜7,000回ほどのスピードでヘッドが物理的に往復運動や回転運動をする歯ブラシです。薬局やコンビニなどでも比較的安価で、乾電池で動く手軽なタイプも販売されています。 【メリットと注意点】 自分の手を細かく動かさなくても機械がゴシゴシと磨いてくれるため、手で磨くよりも短時間で効率的です。しかし、手用歯ブラシと同じように歯に「強く押し付けたり」、長時間同じ場所に当て続けたりすると、あっという間に歯の表面が削れたり歯茎を傷つけてしまう危険があるため、優しい力加減が必須です。
③ 音波歯ブラシ(現在の主流)
電動歯ブラシの進化版です。ヘッドが大きく物理的に動くのではなく、「音波領域の微振動(周波数が約20,000〜200,000Hz)」を発生させます。 【メリットと注意点】 この高速の微振動によってお口の水分(唾液など)から激しい水流や「衝撃波」を発生させ、その力で歯垢を浮き上がらせて落とし、細菌の連鎖を破壊します。 磨き方に少しコツが必要で、歯に「軽くそっと当てるだけ」で十分な効果を発揮します。手用歯ブラシのようにご自身でゴシゴシと手を動かしてしまうと、せっかくの音波振動の波が打ち消されて効果が出ません。装置が複雑でバッテリーを積んでいるため、手用歯ブラシに比べると本体が大きく重いのが少し難点です。
④ 超音波歯ブラシ(細菌を破壊する極小振動)
さらに周波数が高い、1,600,000Hz(1.6MHz)という「超音波」を発生させるタイプの歯ブラシです。 【メリットと注意点】 この超音波の振動は、歯垢の元となる細菌の構造そのものを直接破壊する強力な効果があります。しかし、超音波の領域になると振動が細かすぎて、歯ブラシの毛先自体は肉眼では「ほとんど動いていない」ように見えます。そのため、電動歯ブラシの一種ではありますが、汚れを物理的に掃き出すためには「自分自身の手で(手用歯ブラシと同じように)細かく動かして磨く必要がある」という特殊な歯ブラシです。
3. 結局、どの歯ブラシを選ぶのが一番いいの?
一時期は、「音波よりも超音波のほうが名前の響きがすごそうだから効くのでは?」というイメージが先行し、超音波歯ブラシがブームになったことがありました。 しかし現在では、微振動によって物理的に食べかすや歯垢を水流で弾き飛ばし、清掃効率に最も優れている「音波歯ブラシ」が電動タイプの中では主流となっています。
では、誰もが音波歯ブラシを使えば良いのかというと、そうではありません。 お口のケアにおける一番の基本は、「手用歯ブラシを使って、正しい角度で、正しい力加減で磨けるようになること」です。
なぜなら、いくら数万円もする超高性能な音波歯ブラシを購入したとしても、「歯と歯茎の境目」や「奥歯の裏側」といった肝心なポイントに毛先を正しく当てることができていなければ、結局そこに歯垢がたっぷり残り、虫歯や歯周病になってしまうからです。「機械に任せていれば安心」というわけにはいかないのです。まずは手磨きで、ご自身の歯の形や並びを理解し、汚れが落ちる感覚を身につけることが何よりも大切です。

4. 歯ブラシだけでは不十分!補助清掃用具の併用を
そして最後に忘れてはならない最も重要な事実があります。 それは、どんなに磨き方のテクニックを極めても、どんなに高性能な高級電動歯ブラシを使用したとしても、「歯ブラシの毛先だけでは絶対に歯垢が落とせない場所がある」ということです。(特に歯と歯がぴったりとくっついている隙間などです。)
そのため、毎日の歯のお手入れの際には、歯ブラシでのブラッシングに加えて、糸ようじ(デンタルフロス)や歯間ブラシ、そしてデンタルリンスといった補助清掃用具を必ず併用するようにしましょう。
虫歯や歯周病を確実に予防するためには、「毎日の正しいセルフケア」と「歯科医院での定期的な検診とプロのクリーニング」という両輪が欠かせません。 当院では、お口のケアのプロフェッショナルである国家資格を持った歯科衛生士が、患者さま一人ひとりの歯並びやお口の状況にピッタリと合った「歯ブラシの選び方」や「効果的な磨き方」を丁寧にご指導いたします。
「自分に合った歯ブラシがわからない」「フロスの使い方が難しい」とお悩みの方は、どうぞお気軽にスタッフまでご相談くださいね。当院のスタッフが厳選し推奨している、使いやすい歯科医院専売の歯ブラシもご購入いただけます!
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