歯磨き粉の種類について

こんにちは、谷村歯科医院 院長の谷村です。

前回は、『歯ブラシの種類』について解説しましたが、今回は歯ブラシをする際に欠かせない『歯磨き粉』について説明いたします。
薬局やスーパーに行くと、歯ブラシと並んでとても多くの種類の歯磨き粉が売っていてどれを買ったらいいのか迷ってしまいますよね。
歯磨き粉のパッケージには実に様々な効果が書いてあります。
なかには歯磨き粉を使わずに毎日歯ブラシをしている人もいますが、基本的には歯磨き粉をつけて磨いたほうがいいでしょう。
ごくまれに塩だけつけて磨いているという方もいらっしゃいます。たしかに塩化ナトリウムは歯ぐきを引き締める効果がありますが、結晶状だと歯肉を傷つけますのでおやめください。
1 歯磨き粉はなぜ使う必要があるのか?
現在市販されている歯磨き粉には次のようなさまざまな効果があります。
そのため、歯を磨く時には歯磨き粉を適量つけましょう。
〈歯磨き粉の効用〉
・歯垢を落としやすくする
・歯ぐきからの出血や炎症を抑える。
・口臭を取り除く
・口の中をさっぱりさせる
・歯の汚れを取る
・歯を白くする
・知覚過敏を抑える
・口の中を殺菌する
・初期虫歯を再石灰化させる
虫歯予防としては、歯磨き粉の成分にキシリトールを入れて、虫歯菌が歯を溶かす酸を作らないようにする効果があります。フッ素を入れると歯の表面を酸に対して強くする作用があります。
また、ハイドロキシアパタイトを配合して、顕微鏡レベルの初期虫歯を再石灰化する効果があります。
歯周病予防としては、デキストラナーゼを配合して歯垢を分解する効果や、トラネキサム酸で腫れている歯ぐきを引き締める効果があります。
最近は機能に特化した歯みがき粉が薬局で多数販売されています。
一番多いのが虫歯予防、次が歯周病予防です。
さらにホワイトニング効果や着色除去効果を謳ったものも販売されています。
2 歯磨き粉の成分は?
歯磨き粉は主に次のような成分でできています
・薬効剤 虫歯予防や歯周病予防などの成分
・発泡剤 泡立って口の中に広がりやすくする。少ないほうがいい
・研磨剤 歯を痛めるので少ないほうがいい
・湿潤剤 歯磨き粉のペーストを湿潤状態にする
・香味料 歯磨き粉に味をつける
・着色料 歯磨き粉に色をつける
タバコのヤニ取りの歯磨き粉などは真っ黒で頑固なタールを落とすために研磨剤が多く含まれていますが、歯や歯茎を痛めるのでおすすめしません。
また香味料も口の中がさっぱりするので、まだ歯垢が取り切れていなくてもきれいになった気になってしまうため、香味料は少ないほうがいいでしょう。特にメントール系の味は口に入れた瞬間にすでに磨き終わった気になってしまいます。。。
発泡剤も口の中の歯みがき粉が泡状になることで気持ちいのですが、泡立ちが少ない歯みがき粉のほうがいい歯みがき粉です。
湿潤剤が少ないとペーストが固まってしまいます。
着色料は歯みがき粉に色を付けてストライプにしたりしていますが薬効的にはまったく意味はありません。
3 歯磨き粉の使い方は?
歯磨き粉を歯ブラシに適量つけますが、大量につけても効果は変わりません。
逆に歯磨き粉の清涼感で、磨けていなくても磨いた気になってしまうので注意しましょう。
当院では歯周病予防効果のあるものと、知覚過敏を抑制する効果のあるものと2種類の歯磨き粉を販売しています。
虫歯予防、歯周病予防、知覚過敏抑制の3つの効果があり、泡が少ないので磨き残しを少なくする効果があります。
ここで決して誤解しないでほしいことは、歯磨き粉の成分では病気を治すことはできません。
大きな虫歯が治ったり、深い歯石が綺麗になくなるわけではありません。
やはり何かあったら早めに歯科医院で診てもらうか、定期検診を欠かさないようにしましょう!