花粉症と歯周病の関係

こんにちは、谷村歯科医院 院長の谷村です。

この季節になると、多くの患者さまから『花粉症がつらいです…』という声を耳にします。
鼻水・鼻づまり・くしゃみ・目のかゆみ・涙・頭がぼんやりする・喉がイガイガするなど、
花粉症は全身に多くの不快な症状を引き起こします。
特に鼻づまりは生活の質まで大きく下げてしまうため、毎年悩まされる方も多いのではないでしょうか。

花粉症は主に『杉の花粉』によるアレルギー反応になります。
第二次世界大戦後に焼け野原となった日本各地へ大量に植林された杉が、
現在になって本格的に花粉を大量に飛ばすようになったことが大きな要因です。

さらに近年は『ヒノキ・ブタクサ・カモガヤ』など、さまざまな種類の花粉が飛散し、
春だけではなく一年を通して何かしらの花粉に反応してしまう方も増えています。
花粉症は体質にも左右されますが、花粉の『取り込んだ量』が一定のラインを超えると発症するといわれています。
そして、一度花粉症になると翌年以降も発症しやすい傾向があります。

ところで、花粉症の方にとって大変なのが『歯の治療』です。
鼻づまりがある状態で長時間口を開けるのはとても苦しく、
『治療中に息ができないのでは?』と不安になってしまう方も少なくありません。

今回は、あまり知られていない
『花粉症がお口の健康に与える影響』
について、詳しくお話ししていきます。


1. 花粉症がお口に与える影響

花粉症の症状の中でも特に大きな問題が『鼻づまり』です。
鼻が詰まるとどうしても鼻呼吸ができなくなり、
無意識のうちに『口呼吸』になってしまいます。

口呼吸になると、吸い込んだ空気によって口の中の水分が蒸発し、
お口が乾燥しやすくなる状態になります。
また、花粉症の治療薬の多くは『鼻水を抑える作用』を持っていますが、
その副作用として唾液の分泌も抑えてしまうことがあります。

つまり、花粉症の季節は
・鼻づまりで口呼吸になる
・薬で唾液の量が減る
というダブルパンチにより、
お口の中が乾燥しやすい環境になるのです。

2. 口が乾くと何が起こるのか?

唾液は、お口の健康を保つために欠かせない存在です。
お口の中では常に様々な変化が起こっていますが、唾液にはそれを整える働きがあります。

例えば、お食事をすると口の中は一時的に『酸性』になります。
酸性になると歯の表面のエナメル質が溶け出してしまいますが、
唾液がその酸を中和し、再び硬い状態へ戻す働きをしています。これを『再石灰化』と呼びます。

また、唾液が常に流れていることで、
食べかすや歯垢(プラーク)が洗い流され、
虫歯や歯周病の予防にもつながっています。

しかし、お口が乾燥して唾液が減ってしまうと…

  • 歯垢が残りやすくなる
  • 歯石が短期間で大量につく
  • 口臭が強くなる
  • 虫歯が急激に進行する
  • 歯肉が腫れ、歯周病が悪化する
  • 歯の再石灰化が進まず、歯が弱くなる

このように、花粉症による『乾燥』はお口の健康にとって大きなリスクです。
特に、花粉症薬を服用している方は、知らないうちに唾液量が大きく低下しているケースもあります。

3. 花粉症になったらどう対策すれば良いのか?

まず大切なのは、
お口の中を常に清潔に保つことです。

花粉症で唾液量が減っている時は、いつも以上に
丁寧な歯磨きが必要です。
食べかすや歯垢を放置すると、乾燥と相まって虫歯が一気に進むことがあります。

また、殺菌効果のある洗口剤(うがい薬)を併用するのも効果的です。
最近は『ノンアルコールタイプ』もあり、刺激が苦手な方でも使いやすくなっています。

ただし、ノンアルコールの洗口剤は泡立ちやすく、
すぐに吐き出したくなるという欠点があり、
汚れを長時間抑える力は少し弱くなります。
刺激が平気な方には、アルコールタイプのほうが殺菌効果が高くおすすめです。

◆ 水分補給はとても大事

乾燥しないためには、こまめな水分補給が欠かせません。
ただし、注意点があります。

ジュース・清涼飲料水・スポーツドリンクなどを頻繁に飲んでいると、
お口の中が常に酸性になってしまい、
虫歯や歯周病が急激に進行する原因になります。

水分補給は、
お水・白湯・お茶
などの糖分のない飲み物がベストです。

◆ 睡眠中は特に乾燥する

就寝中は唾液の分泌が極端に少なくなるため、
花粉症で口呼吸になっている方は、
夜の間に口の中がカラカラになることがあります。

乾燥すると、
・虫歯が一気に進む
・歯ぐきの炎症が悪化する
・朝起きた時に強い口臭が出る
などの症状が出やすくなります。

寝る前に十分な水分補給をし、
必要に応じて加湿器を使うことをおすすめします。

◆ 花粉症と歯科治療の関係

花粉症の患者さまからよく聞くのが、
『治療中に鼻がつまってツラいです』という声です。

歯科治療中はどうしても口が長時間開きます。
鼻が詰まっていると、口呼吸だけだと息が苦しくなり、
治療への集中が難しくなってしまいます。

そのため、花粉症の時期は
・治療の時間を短めにする
・途中で小休憩を入れる
・鼻呼吸ができるタイミングで来院する
・薬の飲み方を調整する
などを行い、治療に関しても遠慮なくご相談ください。

患者さまが少しでも楽に、安心して治療を受けていただけるよう、
当院では柔軟に対応しております。

 

◆ まとめ

花粉症は鼻や目の症状だけでなく、
お口の健康にも大きな影響を与えます。

  • 鼻づまり → 口呼吸
  • 口呼吸 → お口が乾燥
  • 薬 → 唾液量の低下
  • 乾燥 → 虫歯・歯周病・口臭の悪化

この悪循環を断ち切るためには、
丁寧な歯磨き・洗口剤の併用・水分補給・湿度管理
が非常に重要です。

『花粉症になってから口の中がネバつく』『口臭が気になる』『歯ぐきが腫れやすくなった』
など、気になる症状がありましたら、遠慮なく当院へご相談ください。

 

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