【歯科医師解説】「8020運動」とは?80歳で20本の歯を残すための5つの習慣

こんにちは、谷村歯科医院 院長の谷村 将光です。
皆様は『8020運動(ハチマル・ニイマル・ウンドウ)』という言葉を耳にしたことはありますでしょうか? ずいぶん前からテレビや保健所のポスターなどで啓蒙されているため、「なんとなく聞いたことがある」という方も多いかもしれません。今回は、一生自分の歯で健康な生活を送るための非常に重要なテーマである、この『8020運動』について詳しく解説いたします。
1. 『8020運動』とは何か?なぜ「20本」なのか?
『8020運動』とは、「80歳になっても自分の歯を20本以上残そう」というスローガンのもと、厚生労働省や日本歯科医師会によって強く推進されている国民的な健康づくり運動です。
人間の永久歯は、親知らず(4本)をすべて含めると全部で「32本」あります。親知らずを除いた上下の歯がすべて揃っている状態で「28本」です。 では、なぜ「20本」という数字が目標に設定されているのでしょうか?
それは、これまでの様々な歯科医学の調査により、「だいたい20本以上の歯が残っていれば、硬いお肉やフランスパン、たくあんなどを含め、大抵のものをしっかりと噛み砕いて美味しく食べることができる」という見解が示されているためです。 ただ単純に本数が残っていれば良いというわけではありませんが、しっかり噛み合う歯が20本以上あることは、食事の楽しみを維持するだけでなく、噛むことによる脳への刺激(認知症予防)や、胃腸への負担軽減、そして全身の健康状態に直結します。
これからの時代は「人生100年時代」と言われています。80歳になっても、そしてその先の長い人生においても、自分の歯を20本以上しっかりと維持することは、皆様の生活の質(クオリティ・オブ・ライフ)を守るために極めて重要なことなのです。
2. 80歳で20本以上の歯を残すにはどうすればいい?
「まだ自分は若いし、80歳まで何十年もあるから大丈夫だろう」と油断していませんか? 実は、80歳で20本の歯を残すためには、まだ歯が健康に揃っている「若いうち・痛みのないうち」からの継続的な取り組みが絶対に必要です。 歯周病が進行し、気づいた時には歯がみんなグラグラになってから慌てて歯科医院に駆け込んでも、そこから歯を元の状態に戻すことはできず、手遅れになってしまいます。
【警告】タバコは歯を失う最大の危険因子!
特に強くお伝えしたいのが、「タバコ」の悪影響です。タバコを吸う人は、吸わない人と比べて歯の残存率(将来歯が残る確率)が極端に悪くなります。 タバコに含まれている有害物質「ニコチン」は、全身の血管を強く収縮させる作用があります。血管が細くなると、歯肉(歯茎)の隅々の毛細血管まで酸素や栄養が届きにくくなり、歯茎の免疫力が著しく低下します。 その結果、歯周病の病原菌が出す毒素に対して体が抵抗できなくなり、自覚症状のないまま恐ろしいスピードで顎の骨が溶かされ、歯が次々と抜け落ちてダメになっていくのです。 将来自分の歯を少しでも多く残したいと願うのであれば、今すぐタバコを「卒煙」することを強くおすすめします!
【危険】虫歯の「痛みが消えた」は治ったサインではありません
日本人が歯を失う一番の原因は「歯周病」ですが、それに次いで多いのが「虫歯」です。
虫歯が進行して歯の神経に達すると、夜も眠れないほどの激しい痛みが出ます。しかし、歯医者に行くのが怖くてそのまま痛みをグッと我慢していると、ある日突然、フッと痛みがなくなることがあります。 これは、決して虫歯が自然治癒したわけではありません。痛みを感じていた歯の中心の「神経」が、虫歯菌に完全にやられて腐って死んでしまった(壊死した)ため、痛みという感覚を脳に伝えられなくなっただけなのです。
痛みが消えたからとそのまま放置していると、歯の内部で細菌が爆発的に増殖し、歯の根っこの先に膿の袋を作ったり、歯そのものがボロボロに崩壊したりして、最終的には「抜歯」せざるを得ない状態になってしまいます。痛くなったら、あるいは痛くなる前に、速やかに歯科医院で治療を受けることが鉄則です。

3. 歯を残すための「5つの習慣」
『8020運動』を達成し、一生ご自身の歯で美味しい食事を楽しむためには、以下の5つの習慣を今日から生活に取り入れましょう。
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虫歯・歯周病を完全に治す 放置している悪いところがあれば、まずは歯科医院で徹底的に治療を終わらせましょう。
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毎日の正しいセルフケアを怠らない 歯ブラシによるブラッシングだけでなく、歯間ブラシやデンタルフロス、薬用マウスウォッシュ(洗口液)を併用して、歯と歯の間の見えない汚れまで毎日しっかりと落としましょう。
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タバコを止める(禁煙する) お口の健康にとって百害あって一利なしです。歯茎の血流を回復させましょう。
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マウスピースで歯を破壊から守る 就寝中の「歯ぎしり」や無意識の「食いしばり」は、自分の体重以上の力で歯を根元から破壊します。心当たりのある方は、歯科医院で夜間装着用の専用マウスピース(ナイトガード)を作り、歯を物理的に保護しましょう。
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3~6ヶ月に一度は「歯科医院での定期検診とクリーニング」を受ける 普段どんなに頑張って丁寧に歯を磨いていても、すべての汚れを100%きれいにすることは不可能です。歯に残った歯垢(プラーク)は、約3ヶ月で石のように硬い「歯石」になり、自分では絶対に取れなくなります。定期的にプロの手で歯石を除去することが、歯を守る最大の防御になります。
歯は、一度失ってしまうと二度と生えてきません。 いつまでもご自身の健康な歯で、なんでも美味しく噛める豊かな人生を送れるように、私たちと一緒に予防歯科を頑張っていきましょう!
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