【活動報告】虫歯だけを溶かして削らない!スウェーデン発の最新治療「カリソルブ」セミナー参加レポート
こんにちは、谷村歯科医院 院長の谷村 将光です。
昨日、虫歯や歯周病に対する全く新しいアプローチの治療方法を学ぶため、専門セミナーに参加してまいりました。
一般的に、虫歯の治療といえば「キーン」という甲高い音を立てるドリル(タービン)を使って、虫歯菌に侵された部分を機械的に削り取っていく方法が主流です。もちろん、当院でも得意としている「歯科用レーザー」を用いて、光化学的なエネルギーで虫歯のみを選択的に蒸散・破壊する方法もあります。
しかし、今回私が学びに行ったのは、『特殊な薬剤を使って、虫歯になった部分だけを化学的に溶かして取り除く』という画期的な治療法『カリソルブ(Carisolv)』です。
このカリソルブで使用する薬剤は、特殊なアミノ酸と低濃度の次亜塩素酸ナトリウム(塩素系溶液)を組み合わせたものです。塩素系の溶液には非常に強力な殺菌効果がありますが、このカリソルブを虫歯に塗布すると、健康な歯(健康なエナメル質や象牙質)には一切作用せず、「虫歯菌によって分解・変性した組織だけを軟らかくして溶かす」という驚くべき選択性を持っています。
この素晴らしい薬剤『カリソルブ』と治療プロトコルを開発・考案したスウェーデンの高名な教授とメーカーの方々が来日し、特別講習会を開催するということで、「これは当院の患者さまの負担を減らすためにも絶対に学ばなければ!」とすぐに申し込みました。
熱気あふれる秋葉原の会場へ

セミナーの会場は、秋葉原の交差点角にある「ベルサール秋葉原」のビルでした。 駅を降りて会場に近づくと、ビルの入口前にはものすごい人だかりができていて驚きました。「ガンダムバーサスまつり」という大型イベントがちょうど隣のスペースで開催されていたようです(笑)。

案内板を頼りにエスカレーターを降り、セミナー会場のフロアへ。 そこには休日の秋葉原の喧騒とは打って変わり、全国から集まったスーツ姿の熱心な歯科医師の先生方が大勢いらっしゃいました。

セミナー開始の30分ほど前に早めに会場入りしたのですが、広い大ホールはすでに多くの参加者で埋まり始めていました。 主催者の方に伺ったところ、今回の講習会は全く同じ内容で午前と午後の2部制で行われ、午前中だけで300人、午後の部を合わせると「1日で700人以上」もの歯科医師が受講するとのことでした。 「できるだけ歯を削りたくない」「痛みの少ない優しい治療を提供したい」という思いは、全国の歯科医師にとっても今最も関心が高いテーマなのだと改めて実感しました。
予防歯科先進国・スウェーデンの知恵と、カリソルブの仕組み

セミナーがスタートすると、世界的な歯科先進国として知られるスウェーデンのイエテボリ大学から来日された、ピーター・リングストロム(Peter Lingström)教授が登壇されました。 講義の冒頭では、スウェーデンにおける先進的な歯科事情と、予防医療の考え方について詳しく解説がありました。スウェーデンでは国策として水道水や塩にフッ素を導入している地域もあり、国民全体が子どもの頃から歯ブラシやオーラルケアに極めて高い意識を持っています。だからこそ、虫歯ができてしまった場合でも、従来のように大きく削るのではなく「最小限の侵襲(体へのダメージを抑えること=MI:Minimal Intervention)」で治すカリソルブのような治療が非常にマッチし、支持されているとのことでした。

こちらが、スライドで紹介されたカリソルブ治療の模式図です。 カリソルブの最大のメリットは、「歯の神経(歯髄)のギリギリまで進行した深い虫歯であっても、ドリルを使わずに神経を守れる可能性が高まる」という点です。 回転するドリルで神経の近くを削ると、どうしても摩擦熱や振動が生じ、神経を傷つけてしまって「神経を抜く(抜髄)」処置になりがちです。しかし、カリソルブなら薬品が虫歯だけを安全にふやかすため、神経へのダメージを最小限に抑えることができます。
また今回のセミナーでは、虫歯用だけでなく、歯周病治療に応用できる『ペリソルブ(Perisolv)』という新しい薬剤の解説もありました。こちらは歯周病菌が潜む歯周ポケットの中に薬液を流し込み、強力に殺菌しながら、こびりついた硬い歯石を軟化させて除去しやすくするという画期的なアプローチです。
カリソルブ治療の「正しい理解」と当院の方針
虫歯の治療法には、
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ドリルを用いて機械的・物理的に削り取る方法
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歯科用レーザーを用いて光化学的に蒸散させる方法
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カリソルブを用いて生化学的に溶かして取り除く方法
という3つの選択肢が揃いつつあります。
ただし、患者さまに正しくご理解いただきたいのは、「カリソルブは、ただ歯に液体をつけるだけで魔法のように虫歯が完全に消えてなくなる治療ではない」ということです。 歯の表面のエナメル質にはカリソルブは効かないため、象牙質の虫歯に薬液を行き届かせるために、最初はごく小さな穴をドリルで開ける必要があります。また、薬液でドロドロに柔らかくなった虫歯は、細いスプーン状の専用手用器具(エキスカベーター)を使って人の手で優しく掻き出していきます。そして最後に詰め物(プラスチックなど)をしっかり接着させるための形を整える工程でも、わずかにドリルを使用する必要があります。
それでも、「健康な歯質を一切削らず、虫歯だけを極限まで精密に取り除ける」という点において、ご自身の天然の歯を一生残していくための低侵襲治療として非常に素晴らしい選択肢であることは間違いありません。
特に、ドリル特有の「キーン」という音や振動が苦手で歯医者が怖い方、痛みに敏感な方、歯医者が初めての小さなお子様、そして「できる限り歯の神経を残したい」と強く願う患者さまにとって、大きな福音となる治療法です。ご興味のある方は、ぜひお気軽に当院のスタッフまでご相談くださいね!
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