【歯科医師解説】お口の『セルフケアの種類と方法』について!歯ブラシ・洗口剤・フロス・キシリトールガムの正しい活用法

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こんにちは、谷村歯科医院 院長の谷村 将光です。

前回のブログでは、歯と歯ぐきの境目にある「歯周ポケット」を改善して健康な状態に保つには、ご自宅での毎日のセルフケアと、歯科医院での定期的な検診が有効であるとご説明しました。

[歯周ポケットについて]

では、普段ご自宅でおこなうセルフケアは、具体的にどんな道具を使ってどうやって行えばよいのでしょうか? 今回は、お口の健康を守るための『セルフケアの種類と方法』について詳しくご説明いたします。

1. セルフケアの基本は毎日の「歯ブラシ」

虫歯と歯周病を防ぐためにまず行うべき基本のケアは、やはり毎日の「歯ブラシ(ブラッシング)」です。 しかし、毎日欠かさず歯ブラシをしていても、やり方や道具選びを間違えると逆効果になったり、大切な歯と歯ぐきを傷つけてしまったりすることがあります。

① 歯磨きの「回数」と最も重要な「タイミング」

まず1日の歯ブラシの回数ですが、できれば「1日3回」、お仕事などで日中は難しいという方でも、通常「1日2回」は必ず磨くようにしましょう。

特に重要な歯ブラシのタイミングは、「夜寝る前(就寝前)」と「朝起きた時(起床直後)」です。 なぜなら、人間は夜眠っているあいだ、唾液の分泌量が極端に少なくなるからです。唾液の量が減ると、唾液の力で食べかすや歯垢(プラーク)を洗い流す自浄作用が減少してしまい、睡眠中のお口の中で細菌が大繁殖します。 このときに虫歯や歯周病の原因菌が一気に増えることで、次第に虫歯や歯周病が進行していくのです。また、お口の中だけでなく、朝起きたときに増えた大量の細菌を飲食とともに飲み込んでしまうことで、全身の体調不良につながることもあります。 そのため、「夜寝る前」に細菌のエサとなる汚れを徹底的に減らし、「朝一番」に寝ている間に増えた細菌を磨いて洗い流すことで、お口の中の細菌の繁殖を効果的に防ぐことができるのです。

② 「食後3分以内に磨こう!」は過去の常識?

また、近年の歯科における新しい常識として、「食後すぐの歯磨き」はお口に残っている食べ物や飲み物が研磨剤や歯を溶かす「酸」として働いてしまい、柔らかくなった歯の表面を傷つけてしまうため、すぐにはしないほうがいいとされています。 食後はまずお水やお茶でお口を軽くゆすぐ程度にし、唾液の働きでお口の中が中性に戻る「最低でも食後30分経ってから」歯を磨くようにしましょう。

昔よく耳にした「食後3分以内に、3分間磨こう!」というフレーズは、もはや過去の常識です。今では食後すぐのブラッシングは歯にとって良くないということが分かっていますので、この古いフレーズは忘れてしまいましょう。

③ 歯ブラシの「毛先の細さ」と「硬さ」の選び方

次に歯ブラシの種類の選び方ですが、基本的には「毛先が細くて、毛の硬さは『ふつう』のもの」がおすすめです。 毛先が細く加工されている(テーパード毛などの)ほうが、前回ご説明した「歯周ポケット」の狭い奥まで毛先がスッと入って汚れを掻き出してくれるので、歯周病予防にとても効果的です。

  • 「やわらかめ」の歯ブラシについて: あまりに柔らかすぎる歯ブラシは、歯に当てたときに毛先がペタッとそっくり返ってしまうため、ネバネバした歯垢がうまく取れません。「歯周病がかなり進んで歯ぐきが腫れており、普通の硬さの歯ブラシだと痛くてどうしても磨けない」といった場合に限って使うようにしましょう。

  • 「かため」の歯ブラシについて: 硬い歯ブラシは、女性やご年配の方など、握る手の力が弱くて普通のブラシでは歯垢を落としきることができない場合には有効なこともあります。ただし、毛先が硬いと毛の弾力(しなり)が少なくて、歯と歯の細かい隙間や歯周ポケットには届きにくくなります。

たまに、「歯ブラシは硬いものでゴシゴシ磨かないと、磨いた気がしない!」とおっしゃる方がいらっしゃいますが、強い力で硬い歯ブラシを使い続けていると、歯ぐきが下がり、歯の表面や根元がどんどん削れて冷たいものがしみる『知覚過敏(ちかくかびん)』になってしまったり、歯の内部の柔らかい部分(象牙質)が露出してかえって虫歯になりやすくなってしまいますので、くれぐれも気をつけましょう。

2. 「液体ハミガキ」と「洗口剤」を正しく活用しよう

薬局などで売られている「液体タイプ」のセルフケア商品には、見た目が似ていても実は大きく分けて2つの種類があります。ボトルの裏面の表示を見て、使い方を間違えないようにしましょう。

① 歯ブラシの前に使う『液体ハミガキ(デンタルリンス)』

1つ目は、歯ブラシをする前にお口に含んで、そのまま歯ブラシで磨く『液体ハミガキ』です(一般的に「デンタルリンス」とも呼ばれます)。 これは、普段使っているチューブ入りの「ペースト状の歯磨き粉」の代わりに使用するものです。液体なのでお口の隅々まで広がりやすく、配合されている様々な薬用成分が、歯ブラシで歯を磨いた際に効果を発揮します(研磨剤が入っていないものが多いため、歯を傷つけにくいメリットもあります)。

② 歯ブラシの後に使う『洗口剤(マウスウォッシュ)』

もう1つは、普段通りに歯ブラシをしてお口をすすいだ「後(仕上げ)」に使用する『洗口剤(せんこうざい)』です(一般的に「マウスウォッシュ」と呼ばれています)。 歯磨きでお口の中をきれいにした後にブクブクとうがいをして使用することで、お口の中の殺菌・消毒、口臭の防止、そして歯垢や歯石の沈着予防に高い効果があります。 なお、マウスウォッシュをした後は、お水でお口をすすぐことはしません。直後に水ですすいでしまうと、せっかくのお薬の成分が流れて効果が半減してしまいますので注意しましょう。

「アルコールタイプ」と「ノンアルコールタイプ」の違い

さらに、液体ハミガキ・洗口剤のどちらのタイプにも、スッキリ感の強い「アルコール(エタノール)配合タイプ」と、低刺激な「ノンアルコールタイプ」があります。

  • アルコールタイプ: 殺菌効果や使用後の清涼感・爽快感が高いのですが、ピリピリとした刺激が強かったり、お口の中に口内炎や傷、歯ぐきの強い炎症があるとすごくしみて痛いため使用できません。

  • ノンアルコールタイプ: ピリピリとした刺激が少ないので、お子さまやご年配の方も含め万人向けです。ただし、製品によってはお口の中でブクブクとすすぐと泡だらけになってしまうものもあるため、やや使いづらく感じる場合もあります。ご自身の好みに合わせて選びましょう。

3. 『デンタルフロス』や『歯間ブラシ』を活用しよう

どんなに時間をかけて丁寧に歯ブラシをしても、歯ブラシの毛先だけでは「歯と歯の間の歯垢」は半分ほどしか落とせません。そして、大人の歯でたいてい虫歯や歯周病になりやすいところは、この「歯と歯の間」なのです。 そこで大いに役に立つ補助用具が、『デンタルフロス』と『歯間ブラシ』です。

① デンタルフロス(狭い隙間向け)

デンタルフロスは、ナイロンの細い繊維を束ねた糸で、歯と歯の間の狭い隙間に通して汚れを絡め取ります。 以前の記事でもご紹介した通り種類も色々ありますが、初心者の方にもおすすめなのは、糸の表面にワックス(ろう)が付いていて滑りが良く、歯間にスルッと入りやすいタイプです。

② 歯間ブラシ(広い隙間向け)

歯間ブラシは、金属製(またはゴム製)の細くて短いワイヤーの周りに、ナイロンの毛先が小さなタワシのように巻きつけてある道具です。 加齢や歯周病の進行によって歯ぐきが下がり、歯と歯の間に三角形の隙間ができてしまったり、歯並びが悪くて隙間がある場合にとても効果的なツールです。こうした隙間が大きい場所では、細い糸のデンタルフロスだけでは歯垢が取り切れないため、歯間ブラシの併用をおすすめします。

【重要】無理に歯間ブラシを入れるのは逆効果です!

なお、歯間ブラシは、歯と歯の間にスッと無理なく入らなければ使う必要はありません。隙間が狭い場所はデンタルフロスだけで十分です。 歯と歯の間の隙間がほとんど無い健康な歯ぐきの場所に、無理やり歯間ブラシを押し込んで入れると、健康な歯ぐきを傷つけてしまい、かえって歯ぐきが下がって隙間が広がってしまうため逆効果になります。 歯間ブラシにはワイヤーの太さ(SSSS〜Lサイズなど)で種類がいくつかありますので、必ずご自分のお口の隙間に合った適切な太さのものを使用しましょう。

4. 「ガム」を噛むのはセルフケアに効果的?

お口のケアとして「ガムを噛むこと」は、噛む刺激によって唾液の分泌が促進されますので、唾液の力でお口の中を洗い流して浄化する作用や、歯の再石灰化を助ける効果があります。 ただし、当然ながらガムを噛むことは毎日の「歯ブラシの代わり」にはなりませんので、歯磨きは必ず行いましょう。

また、噛むガムの中に「砂糖」が入っていては、虫歯菌にエサを与えていることになり本末転倒です。 お口のケアとしてガムを噛むときは、パッケージの裏の成分表示をよく見て、虫歯菌が酸を作れない天然の代替糖である『キシリトール』が入っているものを選びましょう。

選ぶなら「キシリトール100%」のガムを!

ここで大切な注意点が1つあります。市販のガムの中には、「キシリトール配合」と書かれていても、同時に砂糖や水あめ、ブドウ糖果糖液糖などの糖類が入っているものがあり、それでは虫歯予防としてあまり効果がありません。 選ぶ際は、甘味成分として他の糖類を含まない「キシリトール100%」のものを選びましょう。もし歯科医院の受付などで販売している歯科専売のキシリトールガムであれば、まず「キシリトール100%」と思って間違いないでしょう。

5. 「セルフケア」と歯科医院での「プロのケア」を両輪に!

お口の健康を清潔に保つことは、虫歯と歯周病の予防だけでなく、全身の健康維持や、インフルエンザ・新型コロナウイルスなどのウイルス感染症の防止(お口の細菌が出す酵素を減らし、ウイルスの侵入を防ぐこと)のためにもとても重要です。

しかし残念ながら、ご自宅でこれらのセルフケアを毎日一生懸命に頑張っていても、どうしても毛先が届かない場所には次第に歯垢と歯石が溜まっていきます。 そこで、毎日のセルフケアに加えて、3ヶ月に一度は歯科医院での『定期検診(プロフェッショナルケア)』を活用しましょう。

歯科医院では、自分では落とせない溜まった歯垢と歯石を専用の器械で徹底的に取り除くだけでなく、定期的に歯周ポケットの深さを測定したり、レントゲンを撮影したりすることで、目には見えない初期の虫歯や骨の病巣を早期に発見し、手遅れになる前に対処することができます。

毎日の正しい「セルフケア」と、歯科医院での定期的な「プロのケア」の2つを組み合わせて、いつまでも健康な歯とお体を維持していきましょう!ご自身に合った歯ブラシや歯間ブラシのサイズが知りたい方は、当院のスタッフまでお気軽にお尋ねください。

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