【歯科医師監修】その激痛、虫歯じゃないかも?『三叉神経痛』の症状と治療法
こんにちは、歯科医師の鈴木孝美です。
今回は、**『三叉神経痛(さんさしんけいつう)』**という病気についてお話ししたいと思います。
皆さんは、以下のような症状にお悩みではありませんか?
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数秒から2分以内の歯の激痛がある
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歯磨き、洗顔、お化粧、ひげ剃りの瞬間に**「ビリッ」とした電撃痛**が走る
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食事や会話の最中に激痛が走り、その動作を続けられない
もし心当たりがある場合、その原因は虫歯や歯周病ではなく、**『三叉神経痛』**かもしれません。 初めて耳にする方もいらっしゃると思いますので、まずは基本的な仕組みから解説していきます。
三叉神経(さんさしんけい)とは?

上の図のように、三叉神経とは脳神経の一つで、顔の感覚を脳に伝える重要な神経です。大きく3つの枝に分かれていることから『三叉』と呼ばれています。
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第一枝(眼神経): 目や脳の硬膜、おでこの感覚を司ります。
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第二枝(上顎神経): 頬や上の歯、鼻の横などの感覚を司ります。
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第三枝(下顎神経): 下の歯や舌、顎の感覚を司ります。
通常の虫歯や歯周病の痛みは、この第二枝・第三枝が刺激を受け、脳に伝わることで「痛い」と感じます。 三叉神経は顔や口、そして頭の中を複雑に走行しており、この複雑な走行が三叉神経痛の原因と深く関係しています。
三叉神経痛の主な症状と特徴
『国際口腔顔面痛分類 第一版』において、三叉神経痛は『脳神経の病変または疾患による痛み』に分類されています。
最大の特徴は、顔の片側に突然起こる激しい電撃様の痛みです。 この痛みは『数秒から2分以内』と非常に短いのが特徴ですが、一日に何度も繰り返されるため、生活に大きな支障をきたします。
三叉神経痛の3つの種類
三叉神経痛は原因によって主に3つに分類されます。
① 典型的三叉神経痛
脳内の血管(上小脳動脈や前下小脳動脈など)が、三叉神経を圧迫することで起こるものです。血管の拍動が神経に伝わり、支配領域(歯や頬など)に激痛を引き起こします。
② 二次性三叉神経痛
脳腫瘍、多発性硬化症、脳動脈奇形など、脳の中に病変があり、それが三叉神経を圧迫して起こるものです。
③ 特発性三叉神経痛
①や②のような明らかな原因が検査でも特定できないものです。
診断にはMRI検査が不可欠です
上記のように、頬や歯に激痛を感じていても、その原因が『脳の血管による圧迫』や『脳の病気』である可能性があります。 そのため、三叉神経痛が疑われる場合は、必ず脳のMRI画像を撮影し、痛みの原因が何であるかを鑑別診断する必要があります。
三叉神経痛の治療法について
三叉神経痛の治療は、神経内科や脳神経外科の専門医と連携(対診)しながら行います。
薬物療法(第一選択)
日本では60年以上、**『カルバマゼピン(テグレトール)』**というお薬が第一選択薬として使用されています。非常に効果的な薬ですが、副作用として強い皮疹(薬疹)が出ることがあるため、服用後は慎重な経過観察が必要です。
その他の治療アプローチ
最近の研究では、片頭痛のメカニズムと似ている部分があることから、片頭痛治療薬が用いられるケースもあります。 また、筋肉の力を弱めるボトックス注射についても、ヨーロッパのガイドラインでは効果は限定的とされていますが、『神経の末端から痛みを引き起こす物質を出さないようにする』という論文発表もあり、選択肢の一つとして研究が進んでいます。
『歯の痛み』だと思ってもご相談ください
単なる歯痛や歯茎の痛みだと思っていたものが、実は脳の病気や血管の圧迫によるものであったり、今回は触れませんでしたが『咀嚼筋(噛む筋肉)の痛み』が歯の痛みとして感じられていたりすることもあります。
歯や頬は、歯科の分野だけでなく、脳神経とも密接に関わっている身体の一部です。
当院では、その痛みが『歯由来のもの』なのか、それとも『三叉神経痛など他の原因』なのかを、レントゲン撮影やCT撮影を用いて徹底的に追求します。もし三叉神経痛が疑われる場合には、速やかに専門医へご紹介いたします。
痛みは身体全体からのサインです。 「歯医者に行ってもいいのかな?」と迷うような痛みでも、どんな些細なことでも構いません。まずはお気軽にご相談ください。
歯科医師 鈴木 孝美
谷村歯科医院
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