院長ブログ
-
久しぶりにセミナーに参加
こんにちは、谷村歯科医院 院長の谷村です。 先日の日曜日に大阪でセミナーに参加しました。 2年前の2月ごろから新型コロナウイルス感染症防止に伴い、様々な行事が中止になりました。 私が毎年参加していた学会や、セミナー、勉強会もすべて中止です。 特にアメリカで開催予定だったレーザー歯学会も中止だったので、とてもがっかりしました。 その後1年ぐらいしてからZOOM等でのオンラインの学会やセミナーが開催されたので、昨年から診療所や自宅のパソコンでオンラインでの参加を何度かしていました。 オンラインミーティングは便利な反面、かなり味気ないですね。なかなか何時間も集中することが難しです。 学生さんがコロナ禍で授業がオンライン授業となりましたが、同じように集中力を維持するのは大変でしょうか? しかし長かったコロナ禍による規制も無くなり、ようやく実際に会場に足を運んでセミナーを受けることができたので、とても良かったです。 今回私が参加したセミナーは治療等の技術系のセミナーではなく、患者様への接遇等のマーケティングと、スタッフの採用や扱いなどのマネジメントのセミナーでした。 会場は大阪駅からすぐの梅田センタービルの会議室でした。同じセミナーは東京でも開催されたのですが都合がつかなかったので、大阪会場の開催日に行くことにしました。学会やセミナーはやはり東京で開催されることが圧倒的に多いのですが、東京以外だと気分が変わっていいですね。 セミナーの会場内です。患者様に説明するツールが展示してありました。普段の診療で患者様に必要なことをすべて説明するのは時間が足りないし、患者様も覚えきれません。そのため治療の注意事項をまとめたツールを適切に渡す必要があります。当院でも様々な説明ツールを作って患者様にお渡ししていますが、今回当院でも使用できそうなツールをいくつか購入しました。 今回このセミナーで取り入れたポスターです。 『治療中に痛みを感じたら我慢せずに手を上げてください』 たまに患者様でどんなに痛くても我慢して、限界を超えてから痛い!と怒る方がいらっしゃいます。 特に男性で、「痛い」と言うのが恥ずかしいこと、男らしくない、弱いと思うみたいです。 治療前には必ず私から患者様には「お痛みがあれば左手を上げてください」と伝えたり、治療中も「大丈夫ですか?痛くないですか?」と声をかけていますが、それでも我慢する方が極まれにいらっしゃいます。患者様が痛くないように常に心がけてはいますが、実際に痛いかどうかはわからないので、皆さまも治療中は我慢しすぎないようにしてくださいね。『当院では予防と定期検診を積極的に推進しています』 もう一つポスターを待合室に掲示しました。 これも以前から当院では患者様に常にお伝えをしていますが、虫歯や歯周病は重症になると手遅れです。もはや抜歯しか方法がありません。そのために検診で早期発見・早期治療を行うことと歯垢・歯石を取り除くことがすごく重要になってきます。検診のタイミングは、軟らかい歯垢が歯ブラシで取れない頑固な歯石になってしまう3ヶ月を目安としています。 セミナー開始直前には満席になってしまいました。講習中は多くの先生が熱心に聞いてメモをとっていました。今回のセミナーは中小規模の歯科医院をターゲットにしている内容でしたので講演の内容がとてもしっくりきました。また、このセミナーはリピーターが多いのが特徴だそうで、今回もリピーター率がなんと90%以上だそうです。ちなもに私もこのコンサルタントのセミナーに参加するのは5回目です。 今はまだコロナ禍でいろいろと感染予防対策が必要な時期です。そのためセミナー会場も隣席とはアクリル板で仕切ったり、マスク着用、アルコール消毒は必須でした。 コロナ禍もだいぶ落ち着いてきたとは言え、まだまだコロナ前の状態になるには時間がかかりそうです。セミナー中はマスクで息苦しかったり少し不便なこともありましたが、久しぶりに直接セミナーに参加することができてほんとに良かったです。
-
『ウクライナ人道危機』ヘの支援について
こんにちは、谷村歯科医院 院長の谷村です。 ロシア軍によるウクライナ侵攻で、死傷者や多くの避難民が発生しています。 日本赤十字社の公式サイトより 実は私は以前、ウクライナの首都のキエフに行ったことがあります。(風光明媚でとても美しい都市でした) そのため、今回の軍事侵攻のニュースはとても身近で、多くのウクライナ人が犠牲になっていることを知り、とても胸が痛いです。 今回も、日本赤十字社を通して少しでもお役に立てればと寄付をさせていただきました。 ウクライナ人道支援義援金 戦争の1日も早い終結を心より願っております。
-
『令和3年7月大雨災害』への支援について
こんにちは、谷村歯科医院 院長の谷村です。 7月に入ってから全国で大雨が続き、それに伴う災害が各地で発生しています。 特に熱海市伊豆山地区で発生した土石流災害では7月13日現在で死者11日、行方不明者17人となっております。 被災地の様子 首相官邸の公式HPより 当院では少しでも被災された方々のお役に立てるように、日本赤十字社を通じて寄付をさせていただきました。 日本赤十字社令和3年7月大雨災害義援金 亡くなられた方々のご冥福と、被災された地域の一刻も早い復旧を心からお祈り申し上げます。
-
虫歯・歯周病以外のお口の中の病気
こんにちは、谷村歯科医院 院長の谷村です。 お口の中の病気というと虫歯や歯周病を思い浮かべると思います。しかし口の中には虫歯や歯周病以外にも様々な病気ができるのです。今回はお口の中にどのような病気ができるのか説明を致します。 良性腫瘍 腫瘍は大きく分けて 『良性』 と 『悪性』 に分けられます。良性腫瘍は限られた部分で成長する腫瘍です。癌と違いますので成長がゆっくりで他の臓器への転移がありません。では放置してもいいかというとそんなことはなく、良性腫瘍の中でも多く見られる『エナメル上皮腫』 は顎の骨の中にできるため、大きくなると周りの組織を圧迫して、歯がずれたり骨が骨折したり神経や血管を圧迫して麻痺が起こってしまいます。そのためレントゲン撮影をして腫瘍が見つかったら、痛みなどの症状が無くてもまずは口腔外科を併設している病院で受診することをお勧めします。 このエナメル上皮腫以外にも、口の中にできる良性腫瘍として、血管が絡まりながら大きくなる『血管腫』や腫瘍の中が脂肪で満たされている『脂肪腫』、などがあります。 悪性腫瘍悪性腫瘍で代表的なものはお口の中にできる口腔癌です。その中でも特に発生頻度が高いものは『舌癌』です。次が『歯肉癌』になります。癌は炎症と違って初期の段階では痛くありません。自覚症状がほとんど無いのですが、何かお口の中に違和感を感じてそれが2週間たっても消えなければまずかかりつけの歯科医院を受診して診察してもらいましょう。ちなみに堀ちえみさんは舌癌になりましたが、2020年のテレビ朝日のたけしの家庭の医学で放送された再現ビデオの歯科医院のシーンは当院で私の指導のもと再現ビデオとして撮影されました。 嚢胞 『嚢胞』 とは、体の中にできた薄い皮や壁で覆われた空洞で腫瘍とは異なります。この空洞の中には通常体液で満たされています。嚢胞の中で一番多いのは、歯の根の先の骨の中にできる 『歯根嚢胞』 です。また、親知らずなどの歯が骨の中で袋に覆われている、『含歯性嚢胞』 や、粘液で満たされている『粘液嚢胞』 などがあります。 このように、お口の中には虫歯や歯周病以外にも様々な病気が発生します。 中でも悪性腫瘍の舌癌や歯肉癌は全身に転移する可能性がありますので、痛くないからと放置せず早めに歯科医院を受信するようにしてください。 口の中の違和感や痛みを放置してしまうと癌が全身に転移しまい、手遅れになってしまいます。。。 虫歯や歯周病のチェックと歯石取りで3ヶ月毎に定期検診で来院されていると、お口の中に異常があっても早期発見で専門病院を紹介して早期治療が可能になります。 特に口腔癌は痛みが出てからだと手遅れになりますので、違和感を感じたらすぐに歯科医院を受診してください。
-
歯科のレントゲンについて
こんにちは、谷村歯科医院 院長の谷村です。 医療を行う上でとても重要な機器の一つにレントゲン装置があります。レントゲン機器は歯科治療を行う上で最も重要な診断装置と言えるでしょう。私は大学を卒業後、歯科大学の歯科放射線講座に在籍しておりました。 さらに現在は日本歯科放射線学会の認定医になりましたので、レントゲンでの診断をとても大事にしています。 医療の現場ではごく一般的にレントゲン撮影が行われておりますが、特に歯科においてはレントゲン撮影が不可欠です。なぜならば歯科治療は見えない部分の治療が多いので、レントゲンがないと診断能力が40%に下がると言われています。そのため、診療中は常にレントゲンの画像をみながら治療を行っています。レントゲン装置は直接見ることができないところも見ることができる、とても便利な診断機器で有効である反面、人体に有害な部分(被ばく)も併せ持っています。そこで今回は、歯科のレントゲンについて説明いたします。 レントゲンとは?レントゲンとは電磁波のひとつで、X線といいます。そのため、レントゲン撮影をする機械も、X線撮影装置と呼ばれています。そもそも電磁波とは何かというと、電気が流れるところに発生する波のことです。我々が普段見える可視光線、殺菌に使う紫外線、熱を発生させる赤外線、携帯の電波などがあります。この中で、波長が1pm~10nmの電磁波をX線と言います。電磁波について説明すると長くなりますので、また別の機会にいたします。ではなぜX線をレントゲンというかというと、1895年にドイツのヴィルヘルム・レントゲンという物理学者が発見したからです。ちなみにこのレントゲン博士は第1回のノーベル物理学賞を受賞しています。 レントゲン撮影は安全? レントゲンを医療で使用する場合は、診断と治療があります。このうち治療は、主に癌などの放射線治療になります。肺がん治療で放射線治療で使用するX線量は60シーベルト(1週間、治療部位のみ)とかなりの線量を当てますので、被ばくによる影響は無視できません。ただし肺がんは死亡率の非常に高いがんなので、有効性が副作用を上回ります。治療に比べて診断に使用するレントゲン量は桁違いに少ないので、問題ないと考えていいでしょう。年に1度の健康診断でも胸のレントゲンを撮影しますのが、この撮影で癌になったり副作用が出たということは今までに全くありません。 歯科医院のレントゲン撮影は安全? こちらは東京都歯科医師会が作製している放射線被ばくの図になります。 https://www.tokyo-da.org/images/pdf/1108.pdf これによると、歯科で使用するレントゲンの被ばく量は0.01~0.03ミリシーベルトとなります。つまり、飛行機でニューヨークを往復する際に被ばくする自然放射線量の10分の1以下なのです。たとえ飛行機に乗らなくても普通に生活しているだけで我々は1年間で2.4ミリシーベルトの自然放射線量を浴びています。ちなみに肺がんの治療で使用するX線量は60シーベルトですから、歯科用X線の被ばく量はなんと600万分の1ということになります。さらに歯科のレントゲン撮影は健康診断の際の胸のレントゲン撮影の被ばく量の5~2分の1ですが、それだけでなく歯科では胸に大きな鉛の入ったエプロンをかけるので、被ばく量はもはや限りなくゼロに近いです。一般的には、歯科用X線撮影は1度に17万枚!撮影しないと人体への影響は出ないといわれています。またX線は体内に蓄積されるものではないので、前回の撮影から日が浅いのでよくないのでは?と心配する必要もありません。 ごくまれに主に年配の方ですが、X線被ばくを心配してかたくなにレントゲン撮影を拒否される方がいらっしゃいます。「副作用が怖い」「歯でなくて口内炎なので撮る必要はない」「最近胸のレントゲンを撮ったばかりなのでもう撮りたくない」「余計なことはしたくない」などしかし今まで述べたように、歯科のレントゲン撮影の被ばく量は限りなくゼロに近く体内に蓄積されるものでもなく、また歯科治療ではレントゲン撮影を行わないと正確な診断と治療ができず、誤診や治療ミスにつながります。また撮影する必要があるか無いかは、歯科医師が決めることなので、患者さんの判断で撮る撮らないを決めるものではありません。 なお当院では初診時にはレントゲン撮影を行う旨をネット予約の際には記載しております。それでもレントゲン撮影をされたくない患者さまは、当院での受診をお断りしております。 このようにレントゲン撮影は歯科治療では不可欠ですが、例外的に妊娠中または妊娠の可能性のある方は緊急時以外の撮影は行いません。もしも妊娠が撮影後に後から分かったとしても、胎児が奇形や精神発達遅延を出現する放射線量は50ミリシーベルト以上なので、歯科医院のレントゲン撮影は問題ありませんのでご安心ください。
-
治療した歯の根元が黒くなってきた
こんにちは、谷村歯科医院 院長の谷村です。 皆さんの前歯には詰め物やかぶせ物は入っていますでしょうか? もしもかぶせ物が入っているならば、かぶせ物の境目はきれいですか? 今回は、かぶせ物(差し歯)を入れた後に境目や歯ぐきが黒ずんでくる現象について説明をいたします。 1 差し歯の付け根が黒くなってきた! 前歯が大きな虫歯やぶつけて折れたりヒビが入ってしまうと、歯を削って差し歯をかぶせる必要があります。 かぶせた当初はきれいでも数年してくると差し歯の境目が出てきて黒っぽかったり、歯ぐきが黒ずんでくることがあります。 当院でもそのような患者さまが来院されて、「この黒い部分だけを埋めてほしい」 と相談される場合があります。 また、すでに以前の歯医院さんで歯ぐきの付け根だけを樹脂でカバーしていることがあります。 このように、前歯の歯ぐきの付け根の黒いラインは美容に大きく影響しますので、審美的観点から気にする人がとても多いです。 歯科では黒い部分を 『ブラックマージン』 とか 『ブラックライン』 と呼びます。 虫歯ではないので緊急性はなく痛みもないのですが、長期的にみるとアレルギーの原因にもなります。 2 どうしてブラックマージンができるのか? ブラックマージンはかぶせ物が入っている歯で発生します。 かぶせ物の内側に補強のための金属を使用している場合にこの金属が露出、腐食、さびが生じて歯ぐきの境目が黒くなります。 かぶせ物の中でも保険治療で使用している硬質レジン前装冠に使用している金属は銀合金のため、程度の差はありますが経年変化で徐々に黒くなっていきます。 歯周病で歯肉の退縮が進むと差し歯の境目が露出して、金属が見えてきます。 この金属が影になって黒っぽく見える場合があります。 また、歯ぐきが黒ずむ現象ですが、こちらは差し歯に使用している金属が粗悪なものだと真っ黒に腐食して歯茎にしみこんでいくために黒くなってしまいます。 さらに保険治療で使用している金属のコアー(土台)も銀の含有量が多いために経年変化でイオン化して溶け出し、歯肉を黒変させてしまうことが分かっています。 3 ブラックマージンができたときの治療方法は? ブラックマージンが気になる場合は、かぶせ物を新規に作り直す必要があります。 その際に保険適応のかぶせ物にした場合、人によってはまた何年かするとブラックマージンができてしまいますので、あまり意味がありません。 金属を使用しないかぶせ物や土台にする必要があります。 かぶせ物は強度と審美性とアレルギーに優れたセラミックス冠やジルコニア冠にすることをお勧めします。(保険適応外) 土台も金属でなくても強度と柔軟性を併せ持ったグラスファイバーコアーがありますので合わせてこちらをお勧めします。 なお見た目が気になるからと部分的に樹脂でカバーすることはお勧めしません。 ブラックマージンの部分だけを樹脂でカバーすると段差ができたりザラザラしていてそこだけ歯垢がたまりやすくなります。 すると歯肉が炎症を起こし歯周病になって骨の吸収が進み歯ぐきが退縮してさらに歯根が出てきます。 歯の根が出てくると、歯と歯の隙間が大きくなって物が挟まりやすくなったり、歯が伸びた感じになってしまします。 4 ブラックマージンにならないかぶせ物、コアーについて 金属を使用していないと黒くならないだけでなく、歯ぐきが将来退縮してかぶせ物の境目が出てきてもあまり目立ちません。 また、金属アレルギーの心配ないため体にやさしい素材と言えます。 かぶせ物は主にジルコニアクラウンとオールセラミックスクラウンがあり、土台にはグラスファイバーコアーがあります。 ・ジルコニアクラウン ジルコニアは人工ダイアと言われており、非常に硬い素材です。 このジルコニアを前歯のかぶせ物に使用できるように白く加工して表面をグラデーションのあるセラミックで何層も焼き付けたものがポーセレンジルコニアです。 セラミックスを表面に使用することでとてもきれいに仕上がります。 奥歯では噛んでも壊れないように耐久性重視でジルコニアのみで作製するフルジルコニアがあります。ただし透明感はあまりありません。 ・オールセラミックスクラウン 耐久性のあるガラス系のセラミックスを使用いたします。 前歯ではジルコニアと同様に表面に何層かセラミックスを焼き付けて立体感を再現します。 透明感があるためとてもきれいで、単体でも奥歯では自然感が再現できます。 歯よりも硬いですが、ジルコニアと比較すると衝撃にもろい面があります。 ・グラスファイバーコア(土台の材料) 歯の根の治療をした後はかぶせ物を直にかぶせるわけではなく、芯棒となるコアー(土台)を入れます。 この材料にグラスファイバーコアーを入れることで、歯の内部からの黒変や腐食を防ぐことができます。 さらにグラスファイバーコアーは適度の柔軟性を有しているため、歯に限界以上の力が加わったときに歯の根が折れる前にファイバーが折れることで抜歯にならずに済む場合があります。 その際はもちろん土台とかぶせ物を作り直す必要がありますが、抜歯になるよりははるかにましです。 以上、今回は治療後の歯の根元の黒ずみについて説明いたしました。 特に前歯は噛むという機能以上に審美的な意味合いが強いので、古いかぶせ物が入っていて黒く変色しているならそろそろメタルフリーの素材に変えることをお勧めします。 かぶせ物に関しては保険外ですとどうしても治療費がかさむ場合があります。 ご不明な点は当院スタッフまでお気軽にお声がけください。
-
口臭の原因について
こんにちは、谷村歯科医院 院長の谷村です。新型コロナウイルス感染症のピークは過ぎたみたいですが、緊急非常事態宣言が解除されるにはもう少し時間がかかるみたいなので、感染対策を常に心がけましょう。さて今回は 『口臭』 の原因について解説していきます。皆さん口臭対策はされていますでしょうか?口臭は自分ではなかなか気が付きにくいもの。相手や周りの人に不快感を与えないように、日ごろから口臭予防に心がけましょう。1 口臭予防は必要?まず初めに、口臭は誰にでもあり、無臭にすることはできません。とはいえ匂いにも程度があります。デートや商談の場で強い口臭があると、それだけで嫌われたり破談になる可能性があります。つまり強い口臭があることで、その人がどんなにきれいな身なりだったりイケメンだったり美人でとても性格がよくても嫌われてしまうことがあるのです。しかも口臭は自分では自覚しにくいため、自分の何が悪くて嫌われたのか分からないのです。そのため、口臭はゼロにすることはできなくても、できるだけ少ないに越したことはありません。ちなみに口臭の90%以上はお口の中にあるといわれています。(そのほかの原因は、胃腸からだったり精神的なもの)今回は口臭の原因がお口の中の場合にどのような原因があり、どのような対策をしたらよいのか解説をしていきます。2 歯周病まず初めに口臭の原因として考えられるのは 『歯周病』 です。歯周病は国民病とさえ言われ、成人の90%以上が罹患しています。歯と歯茎の間に残った歯垢がしばらくすると硬い歯石になります。この歯石に強い毒巣を持った歯周病の原因菌がコロニーを形成して臭気を放つようになります。歯周病は重症にならないと自覚症状が無く、痛みや腫れ、出血がひどくなると歯を残すことが難しくなるとても怖い病気です。重症の歯周病はコロナ感染しやすくなったり、誤飲性肺炎を引き起こしたり、全身に悪影響を与えますので定期的に歯科医院で歯石を取ってもらいましょう。3 歯垢よく勘違いしがちですが、歯垢は食べかすではありません。口の中の細菌が集まったもので、ネバネバしています。この細菌からも臭気が出ますが、歯垢は歯ブラシで取り除くことができます。歯並びの関係や矯正中でお口の中に装置が入っていると歯ブラシが届かない場合があります。そのため、歯ブラシの他にも歯間ブラシやデンタルフロス、マウスウォッシュを併用しましょう。歯科医院では資格を持った歯科衛生士が、患者さまそれぞれに合わせた歯ブラシの方法を提案いたします。今まで一度も歯ブラシの仕方を教わったことがなければ気軽に相談してみましょう。4 虫歯小さい虫歯からは口臭はほとんどありませんが、歯の中で大きく穴が開いてしまうと食べかすなどが入り腐ることで強烈な腐敗臭を発生させます。歯の中の歯髄(神経)まで虫歯が到達すると、歯の中に膿がたまり膿からも悪臭が発生します。虫歯で歯が痛くなってくるとさすがに皆さん歯科を受診しますが、痛みがなくても虫歯で穴が開くと口臭の元になるので、定期検診で虫歯がないかチェックしてもらいましょう。5 舌の表面の汚れ(舌苔)舌の表面には食べかすや舌の表面がはがれた組織や細菌が混ざったものが糊のようにべったりとついている場合があります。これを 『舌苔』 と言い、実はこの舌苔から強烈な臭気が発生するのです。舌苔は体調が悪かったり、唾液が出にくくなるような副作用のある薬を服用した時などにできやすいです。鏡で舌を見たときに表面が白かったり茶褐色になっていたら、丁寧に舌苔を取り除きましょう。舌苔を取り除く際は、歯ブラシを使用すると舌を傷つけてしまうため、舌磨きを使用したり、濡れたガーゼを使用してください。6 唾液の減少唾液には口の中をきれいにする 『自浄作用』 があります。そのため口の中に残った食べかすを自然に洗い流すことができるのです。しかし、何らかの原因で唾液が少なくなるとこの自浄作用が働かなくなり、食べかす・歯垢・舌苔から悪臭が発生するようになります。唾液が出にくい方は、薬局で口の中を湿潤させる市販薬が販売されています。またガムをかむことで唾液の分泌を促進したり、こまめに口の中をすすぐことで唾液の代わりに食べかすを落とせます。以上、今回は口臭の主な原因について説明いたしました。口臭予防は社会生活を営む上でのエチケットです。日ころからこのような様々な方法を用いて口臭の予防に努めましょう。もしも皆さんが口臭にお悩みでしたら、お気軽に当院スタッフまでお声がけください。
-
歯磨きで新型コロナウイルス予防
こんにちは、谷村歯科医院 院長の谷村です。日本でもようやく2月中旬に新型コロナウイルス感染症のワクチンが届くみたいですね。しかし一般の接種は5月頃ということなので、新型コロナウイルスのパンデミックが収束するにはまだまだ時間がかかりそうです。それまでは、我々が各自でできるだけ予防をするように心がけましょう。感染の予防方法には手洗い・マスク・換気をする・距離をあける・大声を出さない、などいろいろありますが、今回は 『歯磨きをすることが新型コロナウイルスの感染を積極的に予防する』 ということについて説明していきます。1 コロナウイルスの主な感染経路は? コロナウイルスは感染者の咳やくしゃみにより大気中にウイルスが放出され、それを吸い込むことで感染します。また飛散したウイルスは、ドアノブ・電話・タオル・食器・電車のつり革など普段触るところに付着したり、冬の乾燥した空気中にも死滅せずに長時間とどまります。このようなウイルスは数時間は感染力がまだあるといわれており、それを我々が吸い込むことによっても感染するのです。特にくしゃみをすることで、コロナウイルスが広範囲に飛び散ります。くしゃみをする際は手や腕で抑えるなどして、飛沫を拡散させないようにしましょう。2 感染を予防する方法は?感染力の強い新型コロナウイルスに対しては予防を徹底しましょう。感染のピークは下がってきた傾向にあるものの、現在の東京都の新規感染者数はまだとても多いので、いつ誰がかかってもおかしくありません。しかし、予防を徹底することでコロナウイルスの感染は避けることができます。まず基本的な下記については確実に実行しましょう。・手洗い・うがい手をこまめに洗いましょう。手を洗うことは感染予防で一番大切です。外から帰ってきたときと、食事をする前は必ず手を洗いましょう。普段我々は無意識に顔を手で何度も触っていますので、手指は常に清潔にしておきましょう。手を石鹸で洗う際は、つめの間・指の付け根・手のひらのくぼみは特に汚れが残りやすいので良く洗いましょう。手を洗った後にアルコールで消毒をすると効果的です。・規則正しい生活コロナウイルスの予防には、質の高い睡眠と栄養バランスのとれた食事が大切です。基礎体力が無くなると免疫力が低下してコロナウイルスに感染しやすくなります。あまり夜更かしせず、飲酒も程々にしましょう。・外出を避ける・カラオケなど声を出したり空気の循環が悪いところに行かない新型コロナウイルスのワクチンがある程度行き渡るまでは、引き続き不要不急の外出は避けるようにしましょう。クラスターは声を大きく出すようなところで発生しています。カラオケ店は空気が淀みやすく感染が蔓延しやすい環境にあります。このような所はコロナウイルスが収束した後に行きましょう。3 歯磨きで予防する!?今まで述べてきた予防法はみなさんご存じかと思います。実はこれらの予防法に加え 『歯を磨く』 ことで新型コロナウイルスの感染を防ぐことができます。歯を磨くとどうしてコロナウイルスの感染を防ぐことができるのでしょうか?口や鼻から入ったコロナウイルスは気道の粘膜に付着します。この粘膜の表面はタンパク質の覆いがあって、ウイルスや細菌感染を起こさないような仕組みになっています。しかしプロアテーゼという酵素はこのタンパク質の覆いを破壊するため、コロナウイルスが容易に気道内に侵入することができてしまうのです。このプロアテーゼという酵素は実は口腔内の細菌が作り出すのです。そのため歯を磨いたり口腔内を衛生的に保つことで酵素の発生を抑えて、新型コロナウイルスの感染を防ぐことができるのです。さらにコロナウイルスは舌の表面に付着している細菌が作る毒素を受容体にします。そのため、コロナウイルスに感染すると味覚障害が起きるのです。歯ブラシで歯垢を取り除くと同時に、舌の表面の細菌層(舌苔)も取り除くようにしましょう。なお舌の表面を磨く際は、歯ブラシを使用すると舌を傷つけてしまいます。舌磨きが薬局で売っているので、舌は専用のツールでていねいに磨きましょう。またコロナウイルスに感染してしまうとウイルス性肺炎を起こします。その際に歯垢・歯石が多いと、肺炎で弱っている肺の細胞に虫歯や歯周病の菌が入り込み細菌性肺炎に移行します。年配の方など、基礎疾患で免疫力が低下していると、細菌が血流に乗って全身にまわり多臓器不全で死亡してしまうのです。このように、歯ブラシなのでお口の衛生状態を良くすることは、コロナウイルスの感染を防いだり、重症化を食い止めることができるのです。食後はていねいに歯ブラシを行い、3ヶ月に1度は歯科医院で普段取りきれない歯垢・歯石を除去してもらいましょう。コロナ禍が収束するまでもう少しの辛抱です。歯をしっかり磨いて、感染と虫歯や歯周病にならないようにしましょう!
-
インプラントに関するQ&A
こんにちは、谷村歯科医院 院長の谷村です。 歯を失った後に人工の歯根を埋めてそこにかぶせものを入れる治療を 『インプラント治療』 を言います。 インプラント治療がなければ、歯が無くなった後は、両隣の歯を削ったり神経をとってかぶせるブリッジにするか、取り外し式の部分入れ歯にするしかありません。 ブリッジにする場合は、両隣の歯を大きく削りますし、支えている歯に大きな負担がかかるため、歯が折れてしまうリスクがあります。 部分入れ歯にする場合は、両隣の歯を削らなくてもいい代わりに、ばねの金具が見えたり異物感が強かったり、動くのでしっかりかむことが難しいです。 そのような理由から、当院では歯がない部分の治療としてはインプラント治療をお勧めしております。 とはいえインプラント治療は外科手術になりますので、やはり怖かったり事故や保証、費用など様々な疑問があると思います。 そこで今回は、患者様からのインプラント治療に関するよくある質問をQ&A方式でまとめてみましたので説明していきます。 Q インプラント手術はどのように行うのですか? A まず人工歯根を埋め込む一時手術、人工歯根にカバーをつける二次手術、型取り、かぶせもののセットと通常4工程になります。 手術は虫歯の治療と同じ部分麻酔を使用します。 型取りに際しては歯の治療と異なり、削る工程はありません。 また土台とかぶせ物が同時に出来上がりますので、型取りも1回で終わります。 Q 治療が終わるまでどのくらいの期間がかかりますか? A 最短で3ヶ月かかります。 下の顎で骨がしっかりしている場合は3ヶ月ほどになります。上の顎は柔らかいため5ヶ月ほど見たほうが安全です。 インプラントは埋め込んだ後で骨と固定されるまで時間がかかりますので、どうしても一定の期間が必要になります。 Q インプラントの手術が怖いのですが。 A 手術は、抜歯と同じ部分麻酔で行います。手術の時間は2時間ほどです。また、不安や恐怖心が強い患者様には鎮静処置をしますのでリラックスした状態で処置を受けることができます。 最短で1時間程度で終わりますし、手術中は麻酔をしていますので痛みはありません。 当院ではベテランの口腔外科医が担当しますので、鎮静剤の点滴下で治療すことが可能です。 全身麻酔ではないので意識が無くなるということではないのですが、処置中は恐怖心や不安が無くなります。 Q インプラントの寿命はどれくらいですか? A しっかりとメンテナンスをしていれば一生持たせることも可能です。 インプラントは人工的なものなので、天然の歯よりは感染に弱いです。 ただし、現在のインプラントの製品はかなり熟成されており、しっかりとしたメンテナンスをしていれば、ほとんど経年変化はありません。 また、かぶせものがセラミックだと表面が欠けてしまうことがありますが、当院ではとても頑丈なジルコニアという白い材料を使用していますので耐久性もとても優れております。 それでも不幸にしてインプラントがだめになっても、患者様が望めば数ヶ月後にまたインプラント治療を行うことができます。 ただし、歯ぎしりや食いしばりが極度に強い方はまれに脱落を繰り返しますので難しい場合があります。 Q インプラントは何歳からできますか? A あごの成長が落ち着く20歳ぐらいからでお勧めしています。 中高生で事故やけがなどで前歯を失ってしまった際に、親御さんからインプラント治療に関して相談を受けることがあります。 しかし、高校生まではまだあごの骨が成長段階なので、お勧めできません。 多感なお年頃なので特に女の子は歯がないとコンプレックスになってしまうでしょう。 しかしインプラント治療はまだ難しいため、仮歯を作って様子を見ていただいております。 また逆に何歳までインプラント治療ができるかですが、当院では80歳を一つの区切りとさせていただいております。 もちろん、全身状態に左右されますので80歳以上でも可能と判断すればお勧めしますし、さまざまな全身疾患がある場合は高齢でなくてもお断りしております。 Q 金属アレルギーがあるのですが可能でしょうか? A 人工関節に主に使われるチタン合金を使用しております。 当院のインプラントは、京セラ製の純国産チタン合金のインプラントを使用しております。 チタンは腕の関節や股関節などの人工関節として埋め込まれる金属で、歯の代わりとしてもとても丈夫で長期安定性を持った素材になります。 今までチタンでアレルギーが発生した症例はありませんが、ご心配なら事前に皮膚科でアレルギーのパッチテスト受けてもらいましょう。 Q インプラントはいくらぐらいかかりますか? A インプラント治療は合計で46万2千円(税抜価格 42万円)になります。 インプラント治療は我々にとっても大変な治療です。 事前の診査と診断、処置、そしてメインテナンス、高価な材料など。 そのため基本的に1本あたり一次手術で22万円、二次手術で2万2千円、インプラント用土台で5万5千円、かぶせもので16万円5千円の合計46万2千円(すべて消費税込み)になります。 お支払いは総額を一括ではなく、各工程でそれぞれお支払いいただく形をとっております。 なおお支払いにはクレジットカードが使用できます。 Q インプラント治療は保証はあるのでしょうか? A 埋め込む人工歯根で10年、かぶせものは5年となっております。 正しく埋入されたインプラントは毎日のセルフケアと定期的なメインテナンスをしっかりと行うことで、一生に近い期間持たせることが可能です。 そのため当院では長期の保証制度を設けております。 ただし、歯ぎしりや食いしばりが極度に強い方や歯の本数が少なくインプラントに力が集中する場合は破折のリスクが高いため、保証の対象外となる場合があります。 Q インプラントができない場合はどんな時ですか? A 年齢や全身疾患によってはできない場合があります。 年齢に関しては前述のとおりですが、全身疾患とは重度の骨粗鬆症・糖尿病・肝臓病・心臓疾患のある人、血液疾患のある人、最近全身麻酔で手術を受けた人、薬物やアルコール中毒・ヘビースモーカーの人、先天性の骨形成不全の人、がんなどで放射線治療を受けた人ではインプラント治療はほぼ不可能です。 また上の顎の手術で、上顎洞という空洞内が腫れている場合に手術の際この空洞を触れる可能性がある場合もできません。 なお、インプラントはメンテナンスフリーではないので、歯ブラシや定期健診の重要性を理解していただけない場合も予後不良でトラブルになりやすいのでお断りしています。 喫煙は手術後の回復を大幅に遅らせます。 また感染に対して弱くなりインプラントが脱落するリスクが高まりますので、禁煙を強くお勧めしています。 これらとは逆に、あごの骨が足りない場合は人工骨を適切に使用することで現在はほとんどの状態でインプラント治療が可能です。 もし今までに、「あごの骨が足りないのでインプラントができない」と言われたとしても、一度ご相談ください。 当院では院長が執筆した、『インプラントに関する小冊子』 を希望する患者様に差し上げております。(希望小売価格1,100円) インプラント治療に関するご質問やご相談がありましたら、当院スタッフまでご相談ください。
-
歯科治療と金属アレルギー
こんにちは、谷村歯科医院 院長の谷村です。 金属が体に触れると、皮膚炎などのアレルギー反応を起こすことがあります。 これを 『金属アレルギー』 といいます。 よくあるのが、装飾品(ネックレス・ピアス・イヤリング・指輪・腕輪など)によって皮膚がかぶれる症状です。 皮膚炎以外にも頭痛や肩こりなど、全身に影響が出ることもあります。 この金属アレルギーですが実は歯の治療などで使用するため、治療によって金属アレルギーが出てしまう場合があります。 1 お口の中の金属アレルギーはどうして起こるの? 金属が口の中の唾液に触れると、金属の表面がイオン化されます。このイオン化された金属が溶け出して体のたんぱく質と結合して変性が起きます。この変性したたんぱく質が抗原となってアレルギーが発生します。 ただし、お口の中で使用する金属の合金は含有量が厳密に日本の医療法によって定められているので、どんな金属を使用しているのかわからない安価なアクセサリーなどと比べると金属アレルギーが発生する可能性はとても低いです。 しかし、お口の中は常に水分があるために金属がイオン化されやすく、まれに金属アレルギーが発生することがあります。 2 お口の中の金属が原因のアレルギー症状は? お口の中の症状として代表的なものは、口内炎や歯肉炎です。他にも口唇炎、舌炎、味覚障害があります。 全身的には、湿疹、頭痛、肩こり、めまい、免疫障害などがあります。 3 歯科で使われている金属にはどのようなものがあるの? 一言で歯科用の金属といっても様々なものがあります。 一番オーソドックスなものは、金銀パラジウム合金という健康保険が適応されている合金で、いわゆる 『銀歯』 となります。 虫歯治療のあとの詰め物やかぶせ物、ブリッジに使用されます。 ほかにもかぶせ物の中に使われる土台(コア)に使われる、 『銀合金』 があります。 さらに保険外治療で使われる、 『白金加金合金(プレシャスメタル)』 があります。 他には歯に使うものではありませんが、失った歯の代わりの治療でインプラントに用いられる、純チタンやチタン合金、入れ歯のバネや保険外の入れ歯に用いられるコバルトクロム合金・チタン合金があります。 また矯正治療でもワイヤーや歯を動かすためにあごの骨に直接打ち込むネジに金属が使われています。 外科処置においては、交通事故で顎が砕けたり、変形症の手術時に固定用の金属製のボルトを使用します。 これらは口の中というより、骨に直接固定して埋め込むために、人工関節と同じで金属アレルギーが一番少ないチタンを使用します。 また、以前は虫歯治療には、水銀をほかの金属と混ぜて使用していました。 これを 『アマルガム』 といい、70年代から80年代にかけて樹脂による治療方法がなかった時代に、簡便で安価な治療方法として多用していました。(正式名称は『歯科用水銀アマルガム』 といいます) アマルガムは、銀とすずの合金に水銀混ぜてを、それを専用の撹拌機で混ぜあわせます。 すると金属が粘土状になるので、それを虫歯を取り除いた隙間に詰めていきます。 その後は1日たつと硬化するので、後日高さを調整して表面を磨いて完成となります。 実際には診療所では後日の調整はせず、詰めて終了にするのがほとんどでした。 アマルガムは数年前まで健康保険適用の治療方法として使用が可能でしたが、さすがに使用不可になる直前ではアマルガムで治療している歯科医院はあまりなかったようです。 アマルガムに使用されているのは無機水銀(炭素を含まない水銀)で、過去に公害病の一つであった水俣病の原因の有機水銀(炭素を含む水銀、この場合はメチル水銀)ではありません。 この無機水銀ですが、直接すぐに体調不良になることがなかったので、大問題にはなりませんでしたが、実際には長年にわたって水銀が溶け出して腎臓や肝臓に蓄積されて健康被害をもたらします。 具体的にはアトピー様皮膚炎や味覚異常、精神疾患(イライラや不眠など)の原因になったりします。 4 歯の治療方法は何を選べばいいの? 人の体の中でも歯という組織は再生されないため、虫歯になってしまったら削って人工的な素材で補う必要があります。 しかし奥歯では噛む力に耐えられるような強度が必要で、そのため今でも金属が歯の治療に使用されています。 噛むのに耐えられない素材だとすり減ったり取れたりして、お口の全体のかみ合わせがくるってきてしまいます。 そうなると元に戻すことは非常に困難で、将来お顔の形が変わったり、ほうれい線が深くなってお年寄りの顔つきになったり、慢性の頭痛、肩こりが起きるようになってしまいます。 このような理由から当院では、すり減る可能性のある樹脂は奥歯の噛むところには使用しておりません。 健康保険での治療では、当院では安全面での基準を満たしている金銀パラジウム合金を使用しています。 なお、一番安価な銀合金も健康保険で認められておりますが、当院では土台に使用する以外は黒変したりすり減る可能性が高いので、つめ物やかぶせ物としては使用していません。 健康保険外での治療では、白金加金合金を使用した治療があります。 見た目はやや金色がありますが、合金の硬さが歯に近く、また錆びることがほとんどないので、治療したのにまた虫歯になる、いわゆる2次虫歯の発生を抑えることができます。 また近年は、固いが衝撃にもろかった 『セラミック』 が改良されてとても頑丈になり、審美の改善からも多用されるようになりました。 当院では保険外治療では実際は白金加金合金はほとんどなく、皆さんセラミックによる治療を選ばれています。 またセラミックを使用すると、審美の改善だけでなく材質の劣化やしみたり、2次虫歯の発生もほとんどないためおすすめしております。 さらにセラミックの詰め物やかぶせ物は、専門の知識と技術を持った歯科技工士さんが一つ一つ丁寧に作成しています。 セラミック治療はどうしても費用が掛かるのですが、長期的にみると保険治療の金属や樹脂よりもずっと長持ちするため、結果的には満足感があったりお得になる場合があります。 セラミック治療はアトピーや花粉症などのアレルギーがある方にもおすすめです。 なお、もしも昔の治療で水銀を使用したアマルガムがお口の中にある場合は、痛みがなくても健康被害の原因になるため、ほかの歯科材料に置き換えることを強くお勧めします。 歯は一生使う自分の大切な体の一部です。 虫歯になってしまったら治療が必要ですが、残念ながら歯を再生する治療方法はありません。 歯科医師や歯科衛生士とよく相談の上、いつまでも健康で美しい歯を手に入れて豊かな人生を手に入れてください。