院長ブログ
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プラーク(歯垢)の染め出しについて
こんにちは、谷村歯科医院 院長の谷村です。皆さん、毎日歯ブラシはされていますでしょうか?毎食後、1日3回磨くのが理想的ですが、仕事などで忙しくて難しいかもしれませんね。さて、お口の中には常に細菌がいますが、この細菌の塊が歯垢、すなわち『プラーク』です。プラーク(歯垢)はねばねばしていて白っぽいので、食べかすが固まったものと勘違いしがちです。このプラークが唾液の中のカルシウムと結合して3か月ぐらいたつと、石みたいに硬い『歯石』になります。細菌の塊が歯石になってしまうと、もはや歯ブラシで取り除くことは不可能です。歯石の内側にはさらに毒性の強い歯周病菌が繁殖して、歯ぐきが腫れて歯を支えている歯槽骨を溶かしてしまうのです。歯槽骨が溶けると歯の間に隙間が空いて物が挟まったり、歯がグラグラしてきます。そして最後には、歯が抜けてしまうのです。そうならないためにも、まずはプラークを毎日しっかりと取り除くことがとっても大切です。1 歯ブラシで確実にプラークを取り除くためには?歯についているプラークは白っぽいので歯と区別がつきにくいです。そのため毎日しっかりと磨いているようでも、歯と歯の間や歯と歯茎の間に残ってしまいます。そのようなところから虫歯もできてしまいます。そうならないために、磨き残しをチェックする『染め出し剤』を使ってみましょう。『染め出し剤』は錠剤タイプのものが多いですが、歯磨き後に使用するとプラークが赤く染まります。そのため、磨き残しが目でしっかりと見えるようになります。この磨き残しの部分は、毎日の習慣として歯ブラシをしていてもいつも磨けてない部分なのです。この部分をしっかりと磨けるようになると、虫歯や歯周病を予防することができます。2 染め出し剤の種類について薬局などで買える一般的な染め出し剤には、錠剤タイプのほか液体タイプ、ジェルタイプがあります。錠剤タイプは小学生の頃に、学校で歯磨き指導があったときにもらった人もいるのではないでしょうか?どのタイプでも染め出し力に大きな違いはありませんが、錠剤タイプは携帯に便利です。染め出し剤を口に含んですすぐ際に、衣服についてしまうことがあるので注意しましょう。3 染め出しの方法①歯を磨くまずはいつもと同じように歯を磨きます。歯間ブラシやデンタルフロスを使用しているのであれば同じように行います。②染め出し剤の使用染め出し剤を口に含みます。錠剤であれば、かみ砕きます。液体の場合は綿棒につけます。ジェルの場合は歯ブラシにつけます。しっかりと塗ったら水で軽く口の中をすすぎます。③鏡で磨き残しをチェックする磨き残しを奥歯までまでしっかりとチェックして、染め出しがなくなるまで歯ブラシで磨きます。④再度染め出しをする赤く染まらないかもう一度チェックします。ほぼなくなっていれば合格です。4 どうしても赤い染め出しが取れないときはどんなに歯を磨いても赤い染め出しが取れないところは、虫歯の可能性があります。また詰め物やかぶせ物の境目が赤く染まり歯ブラシをしても取れない部分も、隙間が空いていて歯垢が入り込んでいたり虫歯になっている状態です。虫歯が進行して重症化する前に歯科医院で虫歯の治療をしてもらいましょう。虫歯や歯周病を防ぐために一番大切なことは、毎日の丁寧な歯ブラシです。プラークを確実に取り除くために、『染め出し剤』を有効に活用しましょう。当院では待合室に錠剤タイプの染め出し剤が置いてありますので、試してみてください。もし使い方が分からない場合は、スタッフにお気軽にご相談ください。
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歯の汚れ〜ステイン〜について
こんにちは、谷村歯科医院 院長の谷村です。歯が白い人は、明るく健康的で清潔に感じます。白い歯には憧れますよね。しかし普段生活していると様々な原因で、歯の表面が汚れて黄ばんできたり黒っぽくなってきます。今回は歯の汚れ、『ステイン』について説明いたします。1 歯の変色歯の変色は大きく分けて二つあります。『歯の表面についた着色』によるものと『歯の質のもの』です。歯の質のものは、もともと黄色っぽい歯だったり、抗生剤によってグレーっぽくなったり、歯の神経がないために変色することがあります。この場合は歯の表面をきれいにしても残念ながら白くはなりません。白い歯にしたい場合、歯を削って白いかぶせ物をつくる必要があります。歯の表面についた着色は主に汚れによるものですが、この場合はきれいにすることができます。2 ステインの原因は?ステインの原因は主に、コーヒー・紅茶・赤ワイン・緑茶・タバコなどです。これらの摂取量が多いほど、お茶や赤ワインの成分であるタンニンやタバコのニコチン・タールが歯の表面に付着します。ただ、着色は歯垢や歯石とは違い、歯周病の原因とはなりません。しかし、着色が多いと不健康な印象を周りに与えますし、虫歯だらけのように見えてしまいます。歯の表面全体がステインでくすんでしまうと、口元全体が暗くなってしまいます。それがコンプレックスとなり、口をあけて笑えなかったり、しゃべるときに口元を隠すようになるなど精神的にもよくありません。3 ステインを取る方法薬局でステイン除去用の歯磨き粉が売っていますが、頑固な汚れを取るのはとても難しいです。気を付けたほうがいいのはタバコのヤニ取り専用の歯磨き粉です。この歯磨き粉には研磨成分が大量に含まれており着色はよく落ちますが、歯の表面が削れてしまい、しばらくたつと今まで以上にステインがつくようになってしまいます。またステインを取ろうと自分で一生懸命に歯を強く磨きすぎると、歯ブラシの毛先で歯と歯茎を傷つけてしまいます。歯ぐきが傷つくと歯ぐきが下がり歯の根が出てきます。歯の根は柔らかいので強い歯ブラシで削れてしまいます。するとそこには歯垢がたまって虫歯になったり、歯がしみる知覚過敏になります。歯の表面についたステインは非常に頑固なので、家庭で安全に取り除くことはほぼ不可能です。歯科医院ではステイン除去専用のパウダーを吹きかけたりポリッシャーで優しく取り除くので、とても安全です。自分で取り除くことが難しい歯の裏側や歯と歯の隙間もきれいにします。歯のクリーニングは、病気やケガといった治療行為ではないため保険適応外となります。しかしそれほど高額ではないので、歯石を取ったり定期健診の際に一緒に行うと効果的ですよ。4 ステインがつくのを予防するには?現代の食生活で、ステインがつかないようにすることはほぼ不可能です。しかし普段ていねいに歯ブラシをすることである程度防ぐことは可能です。食後すぐの歯ブラシは歯を傷つけたりステインがつきやすくなるので、30分ほどしてから歯ブラシをしましょう。また当院ではステイン除去成分の入った歯磨き粉を販売しています。これを使うことで安全に着色を取ることができます。しかしステインがついやすい人や、かなり頑固にステインがついている人は、一度プロの歯科衛生士による歯のクリーニングを受けることをお勧めします。
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親知らず
こんにちは、谷村歯科医院 院長の谷村です。 『親知らず』という言葉は一般的にかなり知られていますが、皆さんんも聞いたことはありますでしょうか? 親知らずとは、一番奥にある臼歯のことで前から数えて8番目の歯になります。 人の歯はこの親知らずまで入れると全部で32本あります。 ただし親知らずは元々無い人もいたり、抜いた人もいると思いますのでそのような人は全部で28本になります。 親知らずも自分の歯であることにはかわりないのに、他の歯とは扱いがかなり異なります。 今回は知っているようで意外と知らない、『親知らず』について説明をいたします。 1 親知らずの意味 『親知らず』とはもちろん正式な歯の名称ではありません。正式には『第三大臼歯』といいます。 またの名を『智歯』といいます。英語でも『Wisdom Teeth』といい、『分別のつく頃に生える歯』という意味です。 この親知らずという名前の由来ですが、生えてくるのが18歳から22歳ぐらいともっとも遅いため、親が子供の口の中をもはや見ることもないためこの名前がついたそうです。 2 親知らずの生えている状態 親知らずは現代人では退化している歯なので、生える時期や大きさ、生え方に大きな個人差があります。 元から全部なかったり一本だけなかったりと人によって様々です。 もし親知らずがあっても現代人の骨格では生えるスペースがあまりないので、まっすぐ生えてこないことが多いです。 生え方には主に以下の3パターンがあります。 ①通常タイプ 他の歯と同様にまっすぐ生えている。ただし表面の歯ぐきが半分かぶってそのままの場合もあります。 症状がなく、噛み合わせにも問題がなければ、無理に抜かずにそのまま様子を見ます。 ②横向きタイプ 親知らずが生えるスペースが足らないため、歯が手前に向かって斜めに生えてくるケースです。 歯が見えている場合と見えてない場合があります。 物が詰まりやすく歯ブラシも届かないため、親知らずに関するトラブルで一番多いケースです。 ③完全埋伏タイプ 親知らずが完全にあごの骨の中にとどまっている状態。 完全に骨に覆われていれば、抜かずにそのままでもいいでしょう。 なぜなら虫歯になることもなければ雑菌が入ることもないからです。 ただし骨に覆われていても手前の歯の根を押している場合は、歯並びが悪くなる原因になりますので抜歯をお勧めします。 また、歯ぐきには覆われていても骨からは出ているがいることがあります。 その場合は②の横向きタイプになります。 この場合も手前の歯との隙間から雑菌が入ることもあるので抜歯をお勧めします。 3 親知らずを抜く理由 では親知らずはなぜ抜かなければならないのでしょうか? これには大きく二つの理由があります。 ①不衛生になるから 一番奥の部分は歯ブラシが届きにくいため、親知らずを残しておくと歯垢がたまり、雑菌が繁殖します。 すると歯ぐきや頬が腫れて物が噛めなくなり口も開きづらくなります。 強い口臭や虫歯が発生し、ぶつかっている手前の歯まで虫歯になってしまいます。 ②歯並びが悪くなるから 親知らずはたいてい手前の歯に引っかかっています。 そのままぐいぐい押すので、じわじわと歯並びが悪くなってしまいます。 4 自分の親知らずはどうすればいい? 親知らずがまっすぐに生えていて、衛生状態も良ければ別に抜く必要はありません。 しかしたいていは中途半端な生え方をしている場合が多く、その場合は抜く必要があります。 抜歯はできるだけ大学生など就職前に抜くほうが望ましいです。 年齢が早いほうが歯と骨が分離しやすく、抜歯後も回復が早いからです。 学生であれば仕事に影響することもありません。 逆に高齢者になると、歯の根と骨が癒着して抜歯が大変になります。 抜歯後の回復も時間がかかります。 抜歯は高度の知識と技術が要求させますが、当院では定期的に口腔外科の専門医・指導医の先生に来ていただいていますので、リスクの高い親知らずの抜歯を安全に行うことができます。 また歯科大学の大学病院の口腔外科と連携しており、あまりにも処置のリスクが高い場合は、大学病院を紹介いたします。 親知らずを抜くべきかどうか迷ったら、まずは当院スタッフにご相談ください。
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歯の定期検診について
こんにちは、谷村歯科医院 院長の谷村です。皆さん、『歯の定期検診』は受けていますでしょうか?当院で治療が終了した患者さまには、『歯の定期検診』をお勧めしています。幸いにも多くの患者さまが歯科検診の重要性を理解していただき、定期的に来院していただいております。しかし残念ながら日本全体で見ますと、定期的に歯科検診を受けている人はまだまだ少ないのが現状です。統計によると、ニューヨークのビジネスマンの80%が定期的に歯科検診を受けているそうです。アメリカの映画を見ていても、歯の検診に行ってくるといった場面が少なからず出てきます。残念ながら日本の映画でそのような場面はまだ見たことがありません。。。虫歯や歯周病は症状が出てからでは多大な労力と時間、金銭的な負担が生じてしまいます。定期的に検診を受けていれば万が一虫歯が見つかっても早期発見、早期治療ですぐに治すことが可能です。そうはいっても多くの人は、歯の検診は虫歯のチェック以外にどんなことをするのかよくわからないと思います。今回は『歯科検診』について説明していきます。1 歯科検診はどんなことをするのか?① 虫歯のチェック歯科検診の一番の目的は、虫歯のチェックです、虫歯はとても小さく、自分で見ても分からないことが多いです。虫歯は、表面や噛む面以外に、歯と歯と間、歯と歯ぐきの間、詰め物と歯の隙間を診療台の強力な光で照らしてチェックします。さらにレントゲン写真を撮ることで、虫歯の大きさ・詰め物やかぶせ物の中の虫歯・歯の根の病巣の確認ができます。② 歯周病のチェック歯と歯茎の間の隙間、歯周ポケットの深さをチェックします。定期的にチェックすることでポケットの深さの変化を知ることができます。それにより適切な歯周病治療が可能になります。③ 歯垢、歯石のチェック普段の歯ブラシでの磨き残しや歯石の付きやすさを確認して、それに基づいて適切な検診時期を決めます。④ 歯石の除去定期的に来ている患者さまは、歯石を取ってもらいたくて通っている人が多いです。歯石はその名の通り石みたいに硬いので、自分で取り除くことは難しいです。歯石をそのままにしておくと毒性の強い歯周病菌が増えて、歯周病が進んでしまいます。また歯石があると口の中が不衛生なので、口臭がしたり表面のザラザラが舌の表面の味覚を感じ取る部分を痛めて味覚が鈍くなることもおあります。⑤ 歯垢の除去固まった歯石はもちろん、なかなか磨くのが難しい部分の歯垢を取り除きます。⑥ ブラッシング指導ブラッシング指導は国家資格を持った歯科衛生士が、患者様一人一人に合わせたブラッシング方法を説明いたします。さらに、歯ブラシと合わせて用いたほうがいい歯間ブラシやデンタルフロスの使い方についてもご説明します。2 歯科検診はどれぐらいの間隔で来たらいいのか歯垢が唾液のカルシウムと結合して歯ブラシで取れない歯石になるのが3か月ぐらいなので、そのくらいの間隔での来院をお勧めしています。とても清掃状態がいい人は半年でもいいですが、逆に歯周病が進行している人や歯石がつきやすい人は1~2か月ごとの検診をお勧めしています。3 定期検診を受けるときの準備は?検診には歯ブラシをしてからご来院ください。ブラッシング指導を受けたい方は、普段お使いの歯ブラシを持参していただくとより効果的です。定期的な歯科検診で、いつまでも自分の歯を守るようにしましょう。
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わかりにくい虫歯の種類について
こんにちは、谷村歯科医院 院長の谷村です。皆さん、虫歯は歯の表面が必ず黒くなって目で見てわかると思っていませんか?実は虫歯の種類としては、直接鏡で見ても見えない虫歯の方が多いのです。今回は虫歯が歯のどこにできるのか説明していきます。1 虫歯はどこにできやすいのか?歯の噛む面に虫歯ができるとわかりやすいですよね?しかし10代の若い人ならともかく、ある程度の年齢になると虫歯は鏡で見ても見えにくい場所に主に発生します。ちなみに虫歯ができやすい部分は下記の3カ所です。・歯の噛む面(咬合面)歯の噛む面には、食べ物をすり潰すための細かな溝があり、その隙間に歯垢がたまって虫歯になってしまいます。・歯と歯の間(隣接面)・歯と歯ぐきの境目(歯頸部)2 できると厄介な虫歯一度虫歯になると、治療がとても大掛かりになったり、うまく治らず抜歯になってしまう虫歯です。・歯の根(根面カリエス)歯と歯ぐきの境目よりも下の部分に虫歯ができると処置が困難になります。歯の表面は硬いエナメル質に覆われていますが、歯ぐきが下がって歯の根が出てくると歯の根はエナメル質よりも柔らかい象牙質のため、急速に虫歯になることがあります。この根面カリエスは、歯周病で歯ぐきが下がって歯根が露出している年齢の高い人がなりやすい傾向にあります。通常歯の根はセメント質という組織に覆われていますが、この層はとても薄いため歯ぐきが下がると簡単に破壊されてしまうのです。また歯ブラシの力が強いと歯の根は柔らかいため削れてしまい、そこに歯垢がたまってしまうのです。・歯と歯の間(隣接面カリエス)歯と歯の間にものが挟まり放置しておくと、そこから虫歯になってしまいます。この隣接面の虫歯は自分ではわかりづらく、かなり大きくなって表面が欠け始めてようやく穴が空いている気がして歯医者に行き、その状態では神経を取ってかぶせる必要があるという状態がほとんどです。定期検診などでレントゲン検査をしてこの隣接面カリエスが見つかったら、痛くないからとそのままにしないでしっかり治療してもらいましょう。・親知らずが引っかかっている部分の虫歯親知らずの手前の歯(通常は第2大臼歯)の後ろの部分が虫歯になってしまうことがあります。親知らずはまっすぐ生えている場合と、斜めに引っかかっている場合があります。ななめに引っかかっているとそこに食べかすが挟まって、虫歯と手前の歯の両方が虫歯になってしまいます。手前の歯にできた虫歯は根の部分にできるため、虫歯を削るために歯の大部分を削る必要があったり、最悪抜歯になってしまいます。大事な歯が虫歯にならないためにも親知らずはできるだけ早く抜歯したほうがいい場合が多いです。3 虫歯の予防方法は?虫歯の予防は、正しいブラッシングが一番大事です。歯ブラシと併用してデンタルフロスや歯間ブラシ、デンタルリンスを使用しましょう。また、セルフケアで取り切れない歯垢・歯石は歯科医院で定期的にクリーニングしてもらいましょう。当院では、歯垢が歯ブラシで取れなくなる歯石になる3ヶ月を目安に来院をおすすめしています。
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口臭にはどんな種類があるの?
こんにちは、谷村歯科医院 院長の谷村です。皆さんは自分の口臭が気になるほうですか?また人の口臭で不快な気分になったことはありますでしょうか?できれば避けたい口臭。一口に口臭といっても様々なにおいと原因があります。今回は口臭の種類について説明していきます。1 食べ物、飲み物、嗜好品による口臭普段、食事をするだけで口臭は常に発生しています。食べ物には『いいにおい』と『不快なにおい』がありますが、柑橘類などは万人受けするにおいのため、口臭とは言えないでしょう。食品の中でもニンニク、ニラなどは強いにおいが発生します。またタバコ臭、アルコール臭も生理的に受け付けないにおいの一つです。コーヒーのにおいも人によっては不快な口臭となります。納豆などの発酵食品も普段食べなれない人にとっては不快な口臭でしょう。2 病気による口臭虫歯や歯周病になると強い口臭が発生します。虫歯の場合は、穴が開いたところに食べかすが詰まり、その食べ物が月日とともに腐っていくため発酵臭が出ます。さらに虫歯の原因菌自体が毒素とともに強烈な臭気を発生させます。歯周病の場合も歯ぐきが膿んで、膿とともに臭気が出ます。歯周病の原因菌も虫歯菌と同じように毒素とともに悪臭を放ちます。病気による口臭は口の中以外にもあります。蓄膿症になると頬の骨の中の空洞に膿が充満し、そのにおいが発生します。風邪をひいたりすると、のどの奥に玉状の腫れができて、そこからも強烈な悪臭が発生します。胃腸炎、胃潰瘍になるとやはり口臭が発生します。3 生理的に発生する口臭口の中には誰でも常にさまざまな細菌が存在します。通常は特に問題ないレベルでも唾液が少なくなった時に臭気が多くなります。起床時、空腹時、緊張時、副作用で唾液の分泌量を抑えてしまう薬の服用時などで注意が必要です。鼻炎薬などの市販の風邪薬は鼻水が出るのを抑えるだけでなく、唾液の分泌も少なくしてしまいます。そのようなときは口臭が強くなりやすいです。4 精神的に感じる口臭特に問題になる口臭はないが、口臭が気になってしまう場合口臭は誰にでもありゼロにはできません。しかし感じ取れるにおいではないにも関わらず精神的に臭うと感じたり、ほんの僅かなにおいでもとても気になったりする人がいます。このような場合、ストレスなどで一時的なことであれば、そのうち気にならなくなるでしょう。ただ、何年も歯垢・歯石も取って胃腸の病気もなく誰にも口臭を指摘されないにもかかわらず、自分だけがすごく気になる場合は心療内科を受診したほうが問題が解決されるかもしれません。以上のように、口臭の元は主に飲食物と細菌によるものになります。飲食物による口臭は一時的なものですが、虫歯で穴がありたり歯周病で歯周ポケットが深いとそこにいつまでも残ってしまいます。また細菌による口臭はとても強い悪臭のため、病気(虫歯・歯周病・風邪・胃腸など)を速やかに治療しましょう。それと意外に忘れがちなのが、舌の表面の細菌から発生する臭気です。舌の表面の白いものはただの汚れではなく、舌苔と呼ばれる細菌のコロニーです。これをしっかりと落とすことで口臭が改善するかもしれません。ただし舌を磨くときは歯ブラシだと舌の表面にある味を感じ取れる味蕾という部分を傷つけてしまうため、薬局で販売している舌磨きを使用するほうが安全です。
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歯磨きに関する豆知識
こんにちは、谷村歯科医院 院長の谷村です。お口の健康を守る最も基本的なことは、なんといっても『歯磨き』です。今回は、現代生活に欠かせない『歯磨き』に関する常識や、今まで誤解されていたことなどを説明いたします。口の中のトラブルで最も多いのは、『虫歯』と『歯周病』です。この『虫歯』と『歯周病』を防ぐには、毎日の歯磨きが欠かせません。砂糖や炭水化物の多い現代人の食生活では、歯を磨かかないとあっという間に虫歯になってしまいます。中には、「私は歯磨きをしなくても虫歯になったことがない」という人がいるかもしれません。しかしそのような人はたいてい50歳を過ぎたあたりから、急速に重度の歯周病になっていく場合が多いです。虫歯になりにくい人は歯自体が硬くて虫歯になりにくくても、歯を磨かないことで歯垢歯石が沈着していきます。そして徐々に歯を支えている歯ぐきや骨が溶けていき、最後は歯が抜けてしまうのです。歯が抜けた後は入れ歯になってしまいますので、生活の質が大幅に低下します。1 歯磨きの目的についてところで、なぜ歯を磨かないといけないのでしょうか?つい数十年前まで、毎日定期的に歯を磨く習慣はありませんでした。もちろん生物で習慣的に歯を磨くのは人間だけです。私たちが歯を磨く理由の一つは、口の中をきれいにするためです。社会生活を営む上で食べかすだらけだったりひどい口臭があれば、相手に不快な思いをさせてしまいます。歯を磨く第二の理由は、食べかすや歯垢を取り除き虫歯や歯周病を予防することです。ちなみに歯垢とは食べかすではなく細菌の塊まりです。この歯垢がカルシウムと結合して、3か月ぐらいすると歯ブラシでは取れない歯石となり、歯周病が進んでしまうのです。歯周病が進むと全身の病気、心筋梗塞、脳梗塞、高血圧、糖尿病などに大きくかかわることが分かっています。そのほかにも歯ブラシは、『着色を取る』、『いい香りの息にする』、『歯や歯ぐきを強化する』、『歯を白くする』など様々な目的があります。2 歯磨きはいつすればいい?今までは「1日3回、食べたら3分以内に3分以上」歯を磨くというのが常識でした。しかしこの常識はすでに古く、間違ったものでした!現在、歯磨きは様々なデータから以下のようにするのがいいとされています。・食べたら最低30分たってからから磨く・夜寝る前と朝食べる前に磨く・1日に何度も、また長時間磨くと歯や歯ぐきを傷つけてしまうので悪影響食後すぐではなく、30分以上たってから磨くというのはびっくりですよね!しかしこれには正しい理由があります。食後の口の中は酸性になっていることが多いです。そのような状況で歯を磨くと、酸で歯を溶かしてしまうのです!そこで食べ終わてから30分ぐらいしてから磨くと、口の中は中性に戻っているので安全に歯垢を取り除くことができるのです。就寝前と朝食前に歯を磨く理由ですが、寝ているときは唾液の分泌量が低下します。そして口が開いた状態になることが多く、そうすると口の中が乾燥してしまいます。そうすると、唾液による口の中の自浄効果がなくなり大量の細菌が発生するのです。それを防止したり取り除くために、就寝前と起床後すぐに磨くほうがいいのです。また、寝ているときに大量発生した細菌(歯垢)は、朝食時に食べ物と一緒に飲み込まれさまざまな病気の原因になることが分かっています。3 歯磨きは何回すればいい?歯磨きはできれば、起床後、就寝前、食後30分後がいいのですがなかなか難しいと思います。ただ、歯磨きのポイントは回数ではありません。どんなに回数を増やしても、歯ブラシを歯に正しく当てて歯垢を取り除けてないとそこから虫歯や歯周病が発生してしまうからです。そのためには一度定期検診で、お口の衛生管理のプロである歯科衛生士によるブラッシング指導を受けてみましょう。また、歯ブラシだけでは、どうしても届かない場所があるので、定期検診ではそのような場所も専用の器具でしっかりきれいにしていきます。歯垢が歯ブラシでは取れない硬い歯石になってしまう、3ヶ月ごとの定期検診をお勧めします。正しい歯磨きと定期検診で、お口の健康を維持していきましょう!
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歯周病のケアについて
こんにちは、谷村歯科医院 院長の谷村です。成人の80%がかかっていると言われている『歯周病』今回はこの『歯周病のケア』について説明いたします。1 歯周病とは?歯周病とは歯の周りの歯肉と、歯を支えている顎の骨に炎症が起き腫れたり骨が溶けて歯がぐらぐらして最終的に歯が抜けてしまう病気です。この病気、歯周病の怖いところは重症になるまで痛みや自覚症状がないことです。そのため気づいた時にはすでに重症化してることが多く、治療にとても多くの時間がかかったり進行を止めることが難しい場合があります。また歯周病とはただ単に歯に歯垢や歯石がついたり、歯茎が腫れている状態を指すだけではありません。歯周病になると細菌が歯ぐきの傷口から侵入して心臓に到達して、結果的に心筋梗塞や脳卒中、糖尿病のリスクを高めて全身の病気を引き起こします。さらに最近では早産のリスクも高めることが分かっています。もちろん歯周病で歯がなくなったりグラグラしてものが噛めなくなると、生活の質が低下します。精神的にも活力が損なわれ意欲が低下します。このように歯周病とはただ単に歯石がついて歯茎が腫れるだけでなく、寿命を縮め、生活の質(QOL)を低下させる病気なのです。そのため歯周病の治療はしてもしなくてもいいというものではなく、必ず治療をする必要がある病気なのです。今ではこの歯周病が関与している病気の治療費も莫大な額になるため、国も歯周病の治療と予防に力を入れているのです。2 歯周病の状態について一概に歯周病とは言っても軽度のものから重度のものまで大きく分けて4段階あります。 ① 歯垢(柔らかい細菌の塊)がついて歯ぐきが腫れたり出血がある状態。歯を支えている骨(歯槽骨)は溶けていない。 ② 歯垢が唾液のカルシウムと結合して歯ブラシで取り除くことができない歯石となり、歯と歯茎の隙間(歯周ポケット)が深くなっている状態。 ③ 歯肉が腫れあがり口臭や出血や痛みが出てくる。歯を支える骨が破壊されてきて物が詰まったり歯がぐらぐらしてくる。 ④ 歯を支えている骨がほとんどなくなり歯が抜けそうで痛くて噛めない。出血や急激な歯肉の腫れが起きたり自然に歯が抜けてしまう。3 歯周病のケアはどうすればいい?一番大事なことはお口の中の細菌の数を減らすことです。そのためには毎日の正しいブラッシングが基本になります。「歯ブラシなら毎日してるけど歯周病になるんだけど」という人は、ブラッシングの方法が間違っている可能性があります。ブラッシングは、以下のことを気を付けてください ①食後30分以上たってから行う。(かつては食後すぐの歯ブラシがいいとされていましたが、口の中が酸性の状態だと逆に歯ブラシで傷つけてしまい、余計に虫歯や歯周病になりやすくなってしまいます) ②力はあまり入れず小刻みに歯と歯茎の間をマッサージするように、また歯の裏側も奥までしっかり磨いてください。 ③寝ているときは唾液が少なくなるため、歯周病の菌が繁殖します。そのため寝る前や起きて食事をする前に磨くと効果が高くなります。また歯ブラシ以外に、歯間ブラシ・糸ようじ・洗口剤を併用すると効果的です。特に洗口剤(マウスウォッシュ)は歯ブラシの届かない隙間までしみ込んで殺菌するためお勧めです。4 歯周病の予防に大事なことは?現代人の食生活と生活リズムでは、家庭でのケアだけではなかなか歯周病を予防することは難しいです。そのため歯科医院で専門の資格を持った歯科衛生士による『プロのケア』が必要です。口の中を自分で見ることは難しいですが、プロが歯の後ろ側までしっかり確認して確実に歯石を取り除きます。(重度の歯周病になってしまった場合は、抜歯になってしまうことがあります。)『歯垢』が歯ブラシで取り除くことができない『歯石』に変わるのが3か月ほどなので、3か月ごとの定期検診と歯石の除去でをお勧めします。
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噛み合わせについて
こんにちは、谷村歯科医院 院長の谷村です。 今回は、『噛み合わせ』についてです。 皆さんはなんでもしっかりと食べ物を噛むことができますでしょうか? 最近、歯の噛み合わせに関するお問い合わせがとても多くなっています。 歯は一つ一つでは機能しません。 上と下の歯がしっかりと噛むことができて初めて物をかみ砕くことができるのです。 この噛み合わせに関する症状にはどのようなものがあるのでしょうか? 1 噛み合わせが原因で起きる症状は? 噛み合わせが原因でお口の周りだけでなく、全身に影響が生じます。 噛み合わせはそれぞれの歯だけでなく、顎の骨と顎を支える筋肉や神経とあごの関節がすべて調和を保って初めて機能するのです。 そのためこの調和が崩れて最初に起こるのは顎の症状です。 顎がだるい、音がする、口を開けたりものを噛んだりすると痛む、口が開きにくいなど。 この顎の症状を『顎関節症』といい、とても多くの人がかかっています。 顎関節以外に、もちろん歯にも障害が発生します。 特定の歯の摩耗・破折、被せものの脱離・破折、物がしっかりと噛めないなど 口の中の軟組織の症状としては、頬の内側を噛む、舌を噛む、しゃべりにくい、音が漏れるなど 噛み合わせと関連して歯並びが悪いと見た目がコンプレックスになったり口臭が発生します。 それ以外に全身の症状として、 頭痛・肩こり・手足のしびれ・腰痛などの全身への影響 力が入らない・気分がすぐれない・疲れやすいなどの肉体的・精神的影響などなど多くの不調と関連があります。 内科や眼科、整形外科に行っても症状が改善しない場合、噛み合わせが原因かもしれません。 2 噛み合わせが悪くなる原因は? 噛み合わせが元々悪い場合、遺伝の影響もあります。両親どちらかのかみ合わせが悪いとその影響を受けてしまいます。 例えば顎が出ている人の場合、骨格的に下の歯が上の歯よりも前に出てしまいます。 これは本人の努力ではどうにもならないので、大学病院の口腔外科で骨を切って顎を引っ込める手術をすることになります。 このように遺伝の影響もありますがしかし、多くは外的因子の影響が大きいです。 噛み合わせが悪い人はこのようなことをしていませんか? ・普段よくほおずえをよくついている ・爪やペンなどを噛む癖がある ・虫歯や歯周病で歯が溶けたり抜けてもそのままにしている ・食事は柔らかいものを好んで、あまり硬いものは食べない ・詰め物やかぶせ物、入れ歯がずれていてもそのまま使っている ・寝るときにいつも同じほうばかり向いている ・顎を強くぶつけた 噛み合わせが良くなくて、もし思い当たる項目があればそれが原因になっている可能性があります。 最近では前歯がまったく噛んでおらず、奥歯の数本だけで当たってしまい前歯は隙間が空いている人がいます。 遺伝的な要素もありますが、小さい頃の指しゃぶりが原因で上あごが大きくくぼんで上の前歯が出てしまうことで隙間がある場合があります。 この場合は矯正治療または大学病院の口腔外科で手術になります。 3 噛み合わせを直すにはどうすればいいの? 自分で、「噛み合わせがおかしいな」とか「最近体調がすぐれずどこの病院に行っても分からないので困っている」と感じたら、まずは歯科医院で調べてもらいましょう。 歯科医院で治せるものは速やかに治し、精査が必要と判断した場合は専門の科に送ることができます。 自分で迷っていないで、お気軽に相談してくださいね。
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『平成30年7月豪雨』災害への支援について
こんにちは、谷村歯科医院 院長の谷村です。 先日の台風7号に伴う大雨で、西日本を中心とした地域に大きな損害が出てしまいました。 7月13日現在で死者が214人、避難者数が6000人以上にも上る平成で最悪の豪雨災害だそうです。 倉敷市の様子 名古屋市消防局の公式HPより 日本は災害大国で、毎年様々な自然災害に見舞われます。 当院としても今回、日本赤十字社を通じて寄付をさせていただきました。 日本赤十字社平成30年7月豪雨災害義援金 亡くなられた方々のご冥福と、被災された地域の一刻も早い復旧を心からお祈り申し上げます。