お知らせ
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プラークコントロールについて
こんにちは、谷村歯科医院 院長の谷村です。 本日は『プラークコントロール』についてお話いたします。 プラークとは歯垢のことですが、この歯垢を歯ブラシや歯間ブラシなどの道具を使って取り除き衛生的に良好に保つ行為を『プラークコントロール』といいます。 プラークコントロールは、現代人の食生活においてはとても重要です。 現代は様々な加工食品や砂糖の含まれた食品にあふれています。 通常の日常生活において、これらの食品をまったく口にしないわけにはいきません。 そのため、口の中には糖を栄養源とする虫歯の原因菌や歯周病の原因菌が増殖してしまうのです。 そこで様々な道具や薬品で取り除いたり殺菌を定期的にする必要があるのです。 みなさん、『プラークコントロール』毎日頑張っていますか? つぎはプラークコントロールの種類をご説明します。 プラークコントロールは大きく分けて、自宅で行うものと歯科医院で行うものに分かれます。 1 自宅で行うプラークコントロール ① 歯磨き なんといっても、口をきれいにするものと言って思い浮かべるものは歯ブラシですね。 ナイロンの毛先に歯磨剤をつけて毎日お掃除します。 歯ブラシは、歯の表面についた歯垢や着色を除去します。 しかし、歯の表面は顕微鏡レベルで凸凹や亀裂がありそこまではどんなに極細の歯ブラシでも届きません。 また、歯と歯の間や深い歯周ポケットにも届かないので、他の方法も併用することが望ましいです。 さらに、ほとんどの人が急いで歯ブラシをするせいで、ブラッシング圧が強すぎて歯を削ってしまったり歯ぐきを傷つけてしまっています。 ② 歯間ブラシ 歯科医院で衛生士さんに勧められる方も多いと思いますが、歯ブラシの次に効果的なのが歯間ブラシです。 歯ブラシでは届かない歯と歯の間をお掃除します。 歯間ブラシはサイズが豊富です。SSSサイズからLサイズまで大体5~6種類あります というのも歯と歯の間はとてもデリケートなので、自分のお口いなっていない歯間ブラシを使用すると逆に歯ぐきを傷つけて、雑菌に感染して晴れてしまったり歯周ポケットが広がってしまいます。 歯周病がひどい人や、歯と歯の隙間が大きい人が細すぎる歯間ブラシを使用してもあまり歯垢が取れません。 ③ デンタルフロス デンタルフロスとは糸ようじのことです。 歯間ブラシが入らないような狭い隙間を掃除します。 デンタルフロスは、糸の細さや滑りやすくするためにワックスがついていたり、さっぱり感を出すためにミント味があったりと様々な種類があります。 通常は長い糸を自分で切って使いますが、プラスチックの棒に1センチほどの糸を張ったもあり奥歯などはこちらのほうが使いやすいです。 2 歯科医院で行うプラークコントロール ① 歯石除去(スケーリング) 取り切れなかった歯垢は、やがて唾液に含まれているカルシウムと結合して、硬い歯石になります。 歯石には強い毒性を持った細菌の巣になりますが、歯磨きだけではとることができません。 そのため、歯科医院で国家資格を持った歯科衛生士や歯科医師が取り除きます。 ② フッ素塗布 歯の表面の傷ついたところをフッ素でコーティングします。 いかがでしょうか? 一言にプラークコントロールと言っても、これだけの種類があります。 いちばん大事なのは、正しいブラッシングです。 更に、歯科医院での歯垢と歯石の除去です。 この2つに付け加えて、様々な道具や薬剤を塗布することで、いつまでも健康な歯を維持することができるのです。 口の中は自分では見ずらいので、知らない間に虫歯や歯周病が進んでしまいます。 歯垢が固まって歯石になる期間は約3か月ほどなので、3か月ごとの歯科検診と歯石除去をお勧めしています。
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キシリトールについて
こんにちは、谷村歯科医院 院長の谷村です。 今回はキシリトールについてお話しします。 みなさんキシリトールってご存知でしょうか? テレビの宣伝やコンビニなどで、キシリトール配合のガムを見かけたことはことはありますか? このキシリトールですが、何が体にいいのか、またどうして虫歯予防にいいのかということまではなかなか知らないのではないでしょうか? キシリトールとは? キシリトール(xylitol)とは天然素材の甘味料で、シラカバやカシから発見されたキシラン・ヘミセルロースを原料にした甘味料です。 ギリシア語の 「Xylon、木」 から命名されました。 キシリトール自体は野菜や果物にも含まれております。 身近な例では、レタス・ほうれん草・カリフラワー・イチゴ・ラズベリーなどです。 甘さは砂糖と同じぐらいですが、カロリーは25%も低く、口の中で溶けるときに熱を吸収するのでさらっとした清涼感があります。 キシリトールの安全性は世界保健機構、WHOでも認められており、日本でも1997年に食品添加物として認可されています。 虫歯にならない甘味料? 次はキシリトールの虫歯予防効果についてご説明します。 砂糖が入った食品を口にすると、口の中でミュータンス菌などの虫歯原因菌が糖を分解して発酵して『酸』を作り出します。 その酸によって、歯のエナメル質やさらに内側の象牙質が溶かされて虫歯ができてしまうのです。 しかしキシリトールは、ミュータンス菌によって発酵しないので、結果として歯を溶かす酸ができません。 虫歯の発生や進行を防ぐ ミュータンス菌がキシリトールを取り込むと、エネルギーを消耗させて菌自体の活性力が弱まっていきます。 そうすると口の中のミュータンス菌が減少するので、酸を摂取しても酸ができにくくなります。 キシリトールの働きとして、菌のかたまりである歯垢をサラサラにするということがあります。 歯垢は食べかすと違って、ネバネバしておりなかなか歯ブラシでしっかり落とすことは難しいです。 しかしキシリトールが歯垢をサラサラにするので取り除きやすくなります。 キシリトール入りのガムの効果は? キシリトール入りガムの効果としては、唾液がたくさん出るため、唾液に含まれているカルシウムが増えることです。 カルシウムが増えると歯の表面のエナメル質と結合して再石灰化を促します。 なお、キシリトール入りガムの種類ですが、必ず原材料名をチェックして、甘みとしてキシリトール100%の物を選んでください。 砂糖も含まれていては効果はあまり期待できません。 ショ糖は虫歯菌の栄養になりますので、いくらキシリトール入りでも糖による虫歯菌の増殖と酸で歯を溶かすスピードのほうが早いからです。 ちなみにフィンランドでは、食事の後や寝る前にキシリトールガムをかむ習慣があるそうですよ。 その効果もあって、フィンランドの人は虫歯が少ないのですね。 キシリトールの注意点 キシリトールは虫歯予防の効果はありますが虫歯を治す働きはありません。 どんなにキシリトールを食べても、溶けてしまった歯が元に戻ることはなく、これだけで虫歯を予防することもできません。 歯にこびりついている歯垢は、歯ブラシをしないと取り除くことはできません。 キシリトールはあくまで虫歯予防を助けてくれる補助的なものと考えましょう。 またキシリトールを毎日摂取しているからと言って虫歯にならないわけではありません。 虫歯予防でいちばん大事なことは毎日の歯ブラシと、定期検診になります。 虫歯を予防するためには、糖分を取りすぎない、歯をていねいに磨く、歯科医院で定期的に歯垢と歯石を取り除くことがとても大切です。そして普段の生活にキシリトールを取り入れたり、歯科医院でフッ素を塗布するととても効果的です。
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子どもの歯について
こんにちは、谷村歯科医院 院長の谷村です。 今回は、『子どもの歯について』です。 人間は生まれてからしばらくすると乳歯が生えてきます。 ところで乳歯は全部で何本ありますでしょうか? 正解は20本です。子供の歯である乳歯は0歳から生え始めます。 4歳ぐらいで乳歯が生えそろって、そのあと5~13歳ぐらいの間に順次永久歯に生えかわっていきます。 乳歯の使用期間はわずか10年ぐらいです。 そのため、「乳歯は永久歯が生えるまでの物だからちょっとぐらい虫歯になってもそのままでもいいかな」なんて放置していないでしょうか? 乳歯といえども虫歯がひどくなると強い痛みや腫れで、お子さんがとても苦しんでしまいます。 子どもの歯の状態は大人と比べてかなり異なっています。 それは乳歯と永久歯が存在して歯が生え変わるという過程があるためです。 そのため子供のお口の中の状態はとても複雑なので健康管理は親がチェックして、治してあげる必要があります。 次は乳歯の働きについてです 1 噛む 乳歯の最大の目的は噛むことです。 子どもの歯で食べ物をしっかりと噛むことで、あごの成長を促します。 口の周りの組織を刺激して、筋肉や表情に影響を与えます。 しっかりかみ砕いて食べ物を摂取することで、消化と吸収をよくします。 また噛んでいると唾液が多く出て、口腔内を浄化して虫歯になりにくくなり口臭も防げます。 2 発音をよくする 乳歯がしっかりと生えそろうことで、舌の動きとともに正しく発音をすることができます。 3 永久歯の歯並びをよくする 子どもの歯は乳歯から永久歯に生えかわりますが、永久歯の形ができてくると、乳歯の根が吸収していきます。 そして吸収したところに永久歯が誘導され、乳歯が脱落するとともに新しく生えてきます。 通常はあごの骨も年齢とともに発達してきて大きくなるので永久歯が生えるスペースができます。 しかし乳歯が虫歯や外傷などの理由で早期に脱落すると歯並びが悪くなるので要注意です。 そのため乳歯は生えかわって無くなるとはいえ、乳歯は今後の人生に大きくかかわっているのです。 お口の健康を守るために 子どもの歯の治療はとても大変です。 まず、子どもが怖がって暴れてしまい、治療が大掛かりになってしまいます。 また、子どもの口の中はとても小さいので器具がなかなか届きません。 さらにこちらの言うことが理解できなかったり、急に動いたりするためとても危険です。 唾液の量も大人と比べて子どもはとても多いので、詰め物がうまくくっつかなかったり、感染のリスクがあります。 そのため子どもの歯も親が、「痛がるようになってから歯医者に行けばいい」と考えず、少しでも早く歯科医院に来院してください。 また普段から、子どもが自分で歯磨きができるようになっても、仕上げ磨きをしたり、間食を減らして少しでも虫歯になるリスクを減らしましょう。 歯科医院には痛くなってから通うのではなく、定期検診や虫歯のチェックで何度も通って慣れておくといいですね。 医院の雰囲気で泣き出してしまうお子さんもいらっしゃるので、いざというときちゃんとできるようにしておくことも大切です。 虫歯予防のフッ素の塗布も、お子さんの歯を守るためにとってもいいですよ。 なお当院ではお子さんが治療に際して暴れてしまったり、口を閉ざして拒否してしまう場合に使用するネットなどの拘束具や開口器を使用しての治療は行っておりません。 これらを使用した治療はお子さんの人権を無視した行為であり、将来にわたって歯科医院に対するトラウマになったり、スタッフが怪我をするリスクにつながります。 そのため、どうしても治療が必要にもかかわらずお子さんの協力が得られない場合は、小児歯科専門医での受診をおすすめいたします。
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虫歯はなぜ増える?
こんにちは、谷村歯科医院 院長の谷村です。 今回は、『虫歯はなぜ増える?』というテーマです。 いつもしっかりと歯磨きをしているのに虫歯ができてしまう、という方も多いのではないでしょうか? 虫歯は細菌による感染症ですが、口の中の細菌をゼロにすることはできません、 しかしそれでも虫歯になりやすい人となりにくい人がいます。 歯の質が、もともとかなり頑丈な人は虫歯になりにくいのですが、そうでない方でそんなに歯が柔らかくなくても虫歯になってしまう人がいます。 もしかしたらあなたがよく虫歯になってしまうのは、食事の仕方や飲み物の飲み方に原因があるのかもしれません。 今回は虫歯がなぜ増えるというテーマで、主に飲食に重点を置いて説明をしていきます。 虫歯ができるには3つの要素があります。 まず一番目は歯の質です。元々歯が固い人は虫歯になりにくく、歯が柔らかい人は虫歯になりやすいです。 二番目は清掃性です。食べかすや歯垢・歯石がきちんと丁寧に取り除いてあればいくら歯が柔らかくても理論上は虫歯になりません。実際に食べかすや歯垢・歯石をゼロにすることはできませんが。 三番目は食べ物・飲み物です。虫歯になりやすい食べ物・飲み物を多くとったり頻度が多いといくら歯が固くて歯ブラシを一生懸命にしていても虫歯になる確率は高くなります。 次は虫歯ができるメカニズムと食べ物・飲み物に関してご説明します。 虫歯は食べ物や飲み物に含まれる糖質を虫歯の原因菌が取り込み排泄物として酸を出し、それが歯の表面のエナメル質や歯の中の象牙質を溶かしていき虫歯となります。 歯の表面は通常酸に対して抵抗する膜に覆われていますが、限界を超えると耐えられなくなって歯が溶け出してしまいます。 特にエナメル質は硬いので虫歯の進行が遅いのですが、象牙質に虫歯が届くと急速に中で虫歯が進行していきます。 普段はこのように歯の表面が溶けないようなシステムになっていますが、食事や飲み物を飲むと一時的に酸性度が高くなります。 食後時間が空いている状態のお口の中は中性のpH7に保たれていますが、酸性度が上がってpH5.5を超えると歯が溶け出します。 通常はこの溶けた量はものすごく微量で、また唾液の中のカルシウム成分によりすぐに再石灰化が起こり元に戻ります。 しかし多量の糖分を摂取したりpHが元に戻る前にちょこちょこ間食を繰り返すと、再石灰化できる限界を越して虫歯になってしまうのです。 最近では甘くなくても、炭水化物も糖質のためご飯やパン、ラーメンなどもだらだら食べていると虫歯の原因になるとのことです。 あまり多量の糖分摂取や間食は虫歯の原因になるので注意が必要です。 虫歯にならないようにするにはどうすればいいか? 虫歯にならないような飲食の仕方を心がけましょう。具体的には以下のようになります。 1 食事と食事の間に適切な間隔を空けること 2 唾液が少なくなる就寝前の飲食は取らないこと 3 炭酸飲料などの清涼飲料水はできるだけ控える これらを実践することで虫歯の発生を抑えることができます。 ちなみにアイスクリームはものすごい量の砂糖が含まれているのでお勧めしません。 溶けたアイスクリームはびっくりするほど甘くて、食べれたものではありません。 そのため夏場に毎日のようにアイスクリームを食べて歯をあまり磨かないと、すごい勢いで虫歯になってしまいます。 現代の食生活では意識をして糖分を抑えていかないと、あっという間に過剰摂取になってしまいます。 虫歯にならないように食事の回数を決めて糖分を減らして、食べた後はていねいに歯を磨くようにしましょう。 そして、磨ききれなくて溜まった歯垢と歯石は、定期的に歯科医院を受診して歯科医師や歯科衛生士に取り除いてもらいましょう。
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歯周病
こんにちは、谷村歯科医院 院長の谷村です。 今回は、歯周病についてお話します。 歯周病という言葉を最近テレビのCMなどでも耳にするようになりましたが、これは以前は「歯槽膿漏」と言われていたものです。 歯ぐきが腫れて血がにじんだり膿が出る症状があります。 この「歯周病」ですが、実は生活習慣病で成人の8割以上が罹患しています。 歯周病はお年寄りがかかる病気と思われがちですが、それだけでなく実は最近では小学生や中学生などの未成年でもかかっていることがあります。 これは清涼飲料水や甘いお菓子が増えてきたことによるものです。 歯周病とはどんな病気でしょうか? 歯周病とは名前の通り「歯の周りの病気」です。つまり歯を支えているあごの骨とその表面の歯ぐきが細菌感染を起こして炎症が進んでいる状態のことです。 食べ物を食べると口の中の細菌が活発になり毒性の強い細菌が毒素を出して歯肉に炎症が起きます。 歯垢が固まった歯石は細菌の住みかになっており、歯周病がどんどん進んでいきます。 歯周病の怖いところは、痛みをほとんど伴わないで進んでいくということです。 つまり痛くて噛めなくなった時には手遅れで抜歯になってしまうことがとても多いのです。 年とともに不幸にも歯がなくなってしまうことがありますが、実は歯がなくなる原因の第一位はこの歯周病なのです! 歯周病の症状について 歯周病は症状がほとんど出ないで進行していく怖い病気ですが、こんな症状が出たら手遅れになる前にすぐに歯科で診てもらいましょう。 ・歯ブラシをすると血がついている ・歯ぐきが赤く腫れている ・歯ぐきを押すと膿が出てくる ・歯石がついている ・歯ブラシや冷たいもので歯がしみる ・歯が長くなってきた気がする ・歯と歯の間に物がつまる ・口臭がある ・歯がぐらぐらする ・噛んだ時に高いところがある ・歯や歯ぐきが痛い 「歯周病」の原因は? 歯周病の原因は歯についた歯垢・歯石です。歯垢は一見食べかすに見えますが、実は大量の細菌のかたまりです。これが唾液のカルシウムとくっついて固くなったものが歯石です。 歯石がつくと歯と歯ぐきの間のすき間(歯周ポケット)に入り込み歯ぐきが腫れてきます。 この状態は「歯肉炎」といってこの時に歯科医院できれいに取り除くことで、腫れが引いて元に戻ることが可能です。 しかし何の症状もないため、どんどん進行すると今度は実際に歯を支えているあごの骨が溶けていきます。 こうなると歯の根が出てきて、しみたり歯が長く見えたりすき間ができて物がつまるようになります。 この時点で歯石を取って消毒することで歯周病の進行を止めることはできますが、一度失ったあごの骨はほとんど回復することはありません。 とても痛くなったり、グラグラして噛めなくなったときはもう手遅れです。歯の根の裏側まで歯石に覆われてもはやどうにもなりません。 どうすれば予防できるのか? 歯周病の予防は患者さん自身で行っていくことと歯科医院で行うことの両方が必要です。 1 毎日の歯ブラシなどのプラークコントロール 食後(30分以上開ける)や寝る前と朝起きた時の歯ブラシや糸ようじなどで日常の歯垢を取り除きましょう。マウスウォッシュも効果的です。 2 歯科医院での定期的な歯石除去 毎日念入りに歯を磨いていても届かないところや下の前歯の裏などに歯石がついてしまいます。 これは自分で取ることはできないので、歯科医院で専門の資格を持った歯科衛生士にとってもらいましょう。歯石は3ヶ月で付き始めるので3から6か月ごとの検診がおすすめです。 これらのセルフケアとプロフェッショナルケアの両方を行うことで、いつまでも自分の歯を健康に保つことができるのです。 セルフケアで分からないことがありましたら、いつでも当院スタッフにお尋ねください!
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歯周病と栄養バランスについて
こんにちは、谷村歯科医院 院長の谷村です。 今回は、歯周病と栄養バランスについてお話しします。 歯周病は歯周病の原因菌による細菌感染ですが、メタボリックシンドロームと同じように生活習慣病の一つと言われています。 そもそも歯周病の原因菌はゼロにすることはできないし、存在していても大昔の人には歯周病はありませんでした。 しかし、加工食品や穀物を摂取しだして栄養バランスが崩れたため、歯周病を発生させるようになりました。 生活習慣病の一種である歯周病を予防するためには食事と栄養バランスが大切です。 ・タンパク質 私たちのからだをつくる栄養素。筋肉や骨、皮膚や髪の毛、血液を作ります。 口腔内では歯にカルシウムが定着するのを助けます。 タンパク質の含まれている食品 肉・魚・牛乳・卵・大豆製品 ・ビタミンA 成長を助ける栄養素です。視力や目の健康、ひふや粘膜を健康に保ったり、病気の感染に対して抵抗をつける働きがあります。 口腔内では歯の表層のエナメル質の形成に関与しています。 ビタミンAの含まれている食品 トマト・人参・かぼちゃ・レバー・卵黄・ほうれん草・ウナギ ・ビタミンB1 元気になる栄養素。炭水化物を分解して体を動かしたり頭を働かせるために必要な栄養素です。 ビタミンB1の含まれている食品 豚肉・ハム・大豆・たらこ・鮭 ・ビタミンB2 成長をサポートする栄養素です。脂質を分解して代謝の手助けをして細胞の再生・成長促進や粘膜を保護する働きをします。 口腔内では歯肉のはれや傷の修復に効果を発揮します。 ビタミンB2の含まれている食品 レバー・卵・脱脂粉乳・納豆 ・ビタミンC ストレスを防止してウイルスや細菌に対する抵抗力を強めて感染症を予防する働きをします。 血管や骨、皮膚、粘膜を強くする働きします。、 口腔内では象牙質の形成を助けたり、歯のぐらつきや出血にも効果があります。 ビタミンCの含まれている食品 いちご・オレンジ・レモン・アセロラ・キウイ・トマトなどの果物や野菜 ・ビタミンD カルシウムやリンの吸収を助け、骨や歯の健康をサポートします。 口腔内では顎の骨をつくったり歯の石灰化に働きます。また、歯や骨をつくるカルシウムが足りていてもビタミンDが足りなくなると丈夫な歯や骨を作ることはできません。 ビタミンDの含まれている食品 魚・卵・きのこ類に多く含まれます。ビタミンDは日光浴を浴びることで皮膚でも作られます。 ・カルシウム 丈夫な歯や骨を作る栄養素です。体のカルシウムの約99%は骨や歯の構成成分です。血液中のカルシウム濃度は一定に保たれていますが、カルシウムの摂取不足が続くと骨や歯からカルシウムが溶け出して骨の発達不良や歯の質の低下が起きます。 カルシウムの含まれている食品 牛乳・乳製品・大豆・小魚・煮干し・ひじき・小松菜 ・リン リンも体内の85%がカルシウムやマグネシウムとともに骨や歯を作る成分になっています。 残りの15%は筋肉・脳・神経などの組織に含まれています。 リンは体内でリン酸カルシウムやリン酸マグネシウムの形で骨や歯を形成しています。 リンの含まれている食品 魚・牛乳・大豆・肉類 リンは現代の食生活では不足することはあまりなく、むしろ逆に取りすぎが問題になっています。 その一つは加工食品や清涼飲料水に含まれていることが挙げられます。 リンの摂取量が多すぎるとカルシウムの吸収が悪くなるので要注意です。 いかがでしょうか? このようにお口の中の環境を整えるために、様々な栄養素が必要になります。 そしてこれらの栄養素が一つでも欠けてしまうと、途端に虫歯や歯周病が進行してしまうのです。 過不足の無いバランスの取れた食事で、健康で快適な生活を過ごすようにしましょう。
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予防歯科とは?
こんにちは、谷村歯科医院 院長の谷村です。 今回は『予防歯科』について説明しようと思います。 ところで皆さん、歯科医院へはどんな時に行きますか? ・歯が痛くなった、しみる ・つめものが取れた ・歯ぐきが痛い、腫れた ・グラグラしてかめない ・歯をぶつけた、かけた ・親知らずが痛い、腫れた ・顎が痛い、音がする これら以外にも、歯医者に行こうと思う理由はまだまだありますが、基本的には 「症状が出て困っているので行く」 のでしょう。 もちろん『治療』をすることは大事ですが、治療が必要になる前の『予防』もとても重要です。 『予防歯科』とは、治療が必要となる前に歯石を取ったり、虫歯ができても 『早期発見して早目に治すこと』 です。 予防歯科は家庭での歯磨きなどのホームケアだけでも、歯科医院でのプロフェッショナルケアだけでもお口の健康を守ることができません。 つまり自分の口の健康を保つためには、普段から適切に歯磨きをするのはもちろん、 『歯科医院で決められた期間の間に定期検診を受ける』 ことが大切です。 実際に歯科医院で予防歯科でどのようなことをするのかお話しします。 虫歯と歯周病のチェック レントゲンを撮ったり歯周病の検査をして病巣がないかチェックします。 レントゲンは特に症状がなくても定期的に撮影してチェックすることで、虫歯ができても早めの対処が可能になります。 歯周病のチェックもとても大事です。歯と歯ぐきの間の隙間(歯周ポケット)の深さを確認してその深さに応じて歯石を取り除きます。 腫瘍や親知らず、噛み合わせのチェック 若い人なら親知らずがほかの歯に悪影響を与えていないか、また年配の人なら顎骨内に腫瘍が発生していないかチェックします。 親知らずが手前の歯を圧迫していたり、歯ブラシが届かない場合は他の歯に悪影響を与えるため、抜歯などの対策が必要になってきます。 また、レントゲン画像で、腫瘍が疑われる場合はただちに専門の歯科大学病院に紹介いたします。 特に悪性腫瘍は時間が経つとどんどん他の組織を破壊していきますので、全身にとても大きなダメージを与えるので、早期発見がとても重要になってきます。 歯石の除去 普段のケアで取れない歯垢や歯石を除去します。特に歯石は病原菌の住みかになっていて歯ブラシでは取れないので歯科医院で取り除く必要があります。 この歯石は最初はザラザラしていますが、そのうちに頑丈な白い歯石になります。 これをほおっておくと、腫れた歯ぐきから出る血液と結合して歯と歯ぐきの隙間(歯周ポケット)に入り込む黒くて歯周病の原因菌のすみかとなる「縁下歯石」ができてしまいます。 この縁下歯石が溜まっていくと、歯を支えている顎の骨(歯槽骨)が歯周病菌によってどんどん溶かされていき、最後は歯がグラグラして抜けてしますのです。 ブラッシング指導 毎日一生懸命歯ブラシをしても正しく行わないと歯垢が残ったり歯や歯ぐきを傷つけてしまいます。そのため、患者さん一人一人のお口の中の状態にあった歯みがきの指導を行います。 予防歯科を実践すれば絶対に虫歯にならないわけではありません。 さすがに数ヶ月の検診だけで絶対に虫歯にならないようにすることは、我々歯科医師にはできません。 毎日の正しい歯ブラシと患者さま一人ひとりにあった期間での定期検診と歯垢・歯石の除去がとても大事です。 そして、もしも虫歯が見つかったとしても早めに治療することで、治療期間もコストも抑えることができ、痛みや腫れたり抜歯のリスクも抑えることができるのです。 ちなみに初診のときに虫歯がかなり多かった人も、すべての治療が終わった後に決められた期間に予防歯科を受けているとその後はあまり悪くなりません。 虫歯は、食べ物と清掃と歯の硬さなどの要因が重なったときにできます。 歯が弱い人は、他の人と同じように歯ブラシをしていても虫歯ができやすいです。 そうした方も予防歯科を実践するようになってから、ほとんど虫歯にならず快適に生活を営むことができています。 症状が出てからだと、痛みも出たり何度も通院したり費用も掛かったりするので、ぜひとも『予防歯科』の受診をお勧めします。 当院では予防歯科を積極的に実践しています。 予防歯科を実践できるように国家資格である歯科衛生士が多数在籍しております。 もしも予防歯科について分からないことがありましたら、お気軽に歯科医師や歯科衛生士にお尋ねください。
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6月4日は『虫歯予防デー』~今日からできる、虫歯をつくらない習慣~
虫歯予防デーは有名なので、いろいろな記念日の中でも「聞いたことがある」という方が多いと思います。毎年6月4日が虫歯予防デーです。 6/4が語呂合わせで「む(6)し(4)」と読めることから、覚えやすい日付になっています。 そして、6月4日〜10日は「虫歯予防週間」と呼ばれることもありますが、現在は厚生労働省などが中心となって行う**「歯と口の健康週間(6月4日~10日)」**として啓発が行われています。 厚生労働省+1この時期は、学校や地域でも歯科のイベントやポスターを見かけることが多いですよね。 虫歯はどうしてできるの? みなさん、歯はしっかり磨いていますか?虫歯は「甘いものを食べたら必ずできる」という単純な話ではありませんが、基本はとても分かりやすくて、 食べ物の中の**糖(発酵性糖質)**が お口の中の虫歯菌のエサになり 菌が酸をつくり その酸で歯の表面(エナメル質)が少しずつ溶ける(脱灰)…という流れで進みます。 ただ、私たちの口の中は常に「溶けっぱなし」ではなく、唾液の力で修復(再石灰化)も起きています。 問題は、歯の表面に歯垢(プラーク)が残ったまま、酸が作られる時間が長くなること。 だからこそ、虫歯予防で最も効率が良い基本は、やはり歯磨きでプラークを落とすことなんです。食べるのをゼロにするのは現実的ではないですからね。 虫歯予防の基本「3つ」+知っておくと差がつくポイント 虫歯予防デーにちなみ、「どのように、どれぐらいの頻度で磨くと良いか」を整理します。基本は次の3つです。 1)朝起きたら、まず一度磨く(または最低でもうがい) 寝ている間は唾液の分泌が減り、細菌が増えやすい環境になります。起床時に口がネバつくのはそのためです。朝は「食事の前に磨く」派の方も多いですが、これは理にかなっています。朝食前に磨くと、増えたプラークを一度リセットできます。 一方で「朝食後に磨きたい」という方もいますよね。これもOKです。大事なのは、起床後に何もしないまま長時間過ごさないこと。理想を言えば、時間に余裕がある日は「起床後に軽く磨く(またはうがい)」→「朝食後に仕上げ磨き」だと、さらに清潔に保ちやすいです。 2)夜寝る前は“その日の汚れをゼロに近づける” 夜の歯磨きは、虫歯・歯周病予防の中で最重要と言っても過言ではありません。寝ている間は唾液が減るので、汚れが残っていると菌が活動しやすくなります。「磨いてから寝ると、朝起きてもネバネバ感が少ない」という体感がある方も多いと思いますが、それはとても良いサインです。 3)歯と歯ぐきの境目、歯と歯の間まで磨く 「結構しっかり磨いているのに虫歯になる」という方に多いのが、実は歯の表面だけをサッと磨いているパターンです。虫歯ができやすいのは、特に 奥歯のかみ合わせ面の溝 歯と歯の間 歯と歯ぐきの境目(歯周ポケット周辺) など、“汚れが残りやすい場所”です。 ぐんま心脳サポート歯ブラシは毛先を境目に当てて、小刻みに優しく動かすのがコツ。さらに、フロス(糸ようじ)や歯間ブラシを併用すると、歯ブラシだけでは落としきれない汚れを補えます。 ここができると虫歯・歯周病予防の精度が一段上がります。 「食後すぐ磨く」は本当にダメ?—結論:ケースによります よく「食後3回、3分以内に3分以上磨こう」という“3・3・3運動”を聞いたことがあるかもしれません。最近は、回数や分数にこだわるより「汚れを落とせているか(質)」のほうが大切、という考え方が主流です。 そしてもう一つ、よく話題になるのが「食後すぐの歯磨きは良くない」という説です。ここは誤解が生まれやすいので、分かりやすく整理します。 炭酸飲料・柑橘類・お酢など“強い酸”の飲食後は、歯の表面が一時的にやわらかくなりやすいことがあり、すぐにゴシゴシ磨くより、うがいをしてから少し待つ(目安として30分程度)という考え方が紹介されることがあります。 一方で、通常の食事まで一律に「30分待たないといけない」としてしまうと、糖を長く残すことにもつながり、必ずしもメリットばかりではない、という意見もあります。 おすすめの現実解としては、次のように覚えると迷いにくいです。 通常の食事:磨けるなら食後に磨いてOK(ただし力は優しく、フッ素入り歯みがき剤を活用) 酸性の強い飲食(炭酸・柑橘・スポーツドリンク等)の直後:まずうがい → 可能なら少し時間を置いてから優しく磨く 外出先でどうしてもすぐ磨きたい:ゴシゴシせず、まずうがい・軽めのブラッシングにとどめる 「絶対に食後すぐはダメ」ではなく、**“酸が強いときは慎重に”**がポイントです。 仕上げ:虫歯予防は「歯ブラシ+定期チェック」で完成度が上がる 毎日の歯磨きが基本なのはもちろんですが、実はセルフケアだけでプラークや歯石を完全にゼロにするのは難しいです。 磨き残しの癖は人それぞれなので、定期的に歯科医院でチェックし、クリーニングやブラッシング指導を受けると、虫歯予防の成功率が上がります。 「ここが磨けていなかったんだ」と気づける 自分に合う歯ブラシ・フロスのサイズが分かる 小さな虫歯を早めに見つけられる(削らずに済む可能性が高まる) 忙しい方ほど、短時間でも“質の高いケア”ができるよう、当院でもサポートしています。 以上、虫歯予防デーにちなんだ歯ブラシの豆知識でした。 ちなみに歯に関係のある日としては、11月8日の**「いい歯の日」**もあります。 そしてこの日が誕生日の私は、人様に誕生日を聞かれるとつい虫歯予防デーといい歯の日の話をしてしまいます……。 みなさんも、ぜひ覚えていてくださいね。 歯科医師 山口美香 谷村歯科医院 ネット予約はこちらから 〒157-0072 東京都世田谷区祖師谷3-32-2 渡辺ビル2階 TEL:03-3789-8241 URL:https://tanimurashika.jp/ Googleマップ:https://maps.app.goo.gl/oAfUwBSwhy8V7bcp7
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入れ歯の種類
こんにちは、谷村歯科医院 院長の谷村です。 今日は、『入れ歯の種類』について、少し詳しくお話ししたいと思います。 入れ歯とは、歯を失ってしまった場合に、その機能を補うための『取り外し式の人工歯』です。 歯を失ったと聞くと、まず入れ歯を思い浮かべる方も多いですが、その種類や構造は実にさまざまです。 入れ歯には大きく分けて次の2種類があります。 部分的に歯がないときに使う『部分入れ歯』 歯がすべてなくなったときに使う『総入れ歯』 ■ ブリッジと部分入れ歯の違い 診療中、患者さんとお話をしていると、部分入れ歯のことを『ブリッジ』と表現される方が時々いらっしゃいます。 しかし、これはまったく別の治療法です。 ブリッジは、歯が無くなった部分の前後の歯を削り、そこに『連結した被せ物(銀歯やセラミック)』を装着する治療です。 接着剤で固定するため、取り外しはできません。 一方、部分入れ歯は取り外し式で、残っている歯に金属のバネやその他の構造を引っかけて使います。 どちらも失った歯を補う治療ですが、構造も使い方も異なります。 そのため、治療の選択肢として理解していただく上で、この違いはとても大切です。 入れ歯にはどんな種類がある? 入れ歯は、先ほど述べた『部分入れ歯』『総入れ歯』という分類のほかに、 保険適用かどうか、使用される素材の種類でも大きく分かれます。 部分入れ歯は特に構造が複雑で、残っている歯を支えにするための金属のバネ(クラスプ)を利用するものが一般的です。 最近では、この“金属のバネが見えるのが嫌だ”という方のために、見た目の自然さに配慮した入れ歯も多数開発されています。 ■ 保険適用の入れ歯の特徴 保険の入れ歯の最大のメリットは、何と言っても費用が安く抑えられる点です。 多くの方にとって導入しやすい治療法であり、最低限の機能を確保するには十分です。 しかし、保険適用のルールは非常に厳しく、個々の患者さんの細かな希望や快適性に合わせて自由に設計を変えることができません。 金属のバネが見えてしまう 入れ歯が厚くて話しにくい、違和感が強い 熱さ・冷たさが感じにくい プラスチックが徐々に削れて噛む面が減りやすい これらの問題点があっても、素材や形の自由度がないため改善が難しいケースもあります。 また、保険の入れ歯には6ヶ月ルールがあり、同じ部位の新しい入れ歯を作るには半年待つ必要があります。他院でも同様です。 保険外(自費)の入れ歯 – 快適性と耐久性の追求 保険の入れ歯の弱点を補うために、保険外(自費)ではさまざまな入れ歯が選べます。 以下では特によく使用される素材や構造について詳しくご紹介します。 ■ 金属床義歯(きんぞくしょうの入れ歯) 金属床は、口の中の“天井”に当たる部分を金属でつくった入れ歯です。 保険のプラスチック製と比べて非常に薄く作れるため、装着したときの違和感が大幅に少なくなります。 【金属床のメリット】 薄いので舌の動きが楽になり、話しやすい 温度が伝わりやすく、食事がおいしく感じられる プラスチック床より割れにくく、耐久性が高い 【使用される金属】 コバルトクロム合金:昔から使われている実績ある金属。強度が高く薄く作れる。 チタン合金:とても軽く、金属アレルギーのリスクが低い。加工が難しいためやや高額。 チタン床は本当に軽く、初めて手にする患者さんからは『えっ、入れ歯ってこんなに軽いの?』と驚かれることがよくあります。 ■ 金属のバネが見えない「ノンクラスプデンチャー」 部分入れ歯特有のバネが見えることが気になる方に選ばれるのが、 ノンクラスプデンチャー(フレキシブルデンチャー)と呼ばれるタイプです。 ・金属を使わず、歯ぐきに似たピンク色の樹脂でバネの役割を果たすため、見た目がとても自然 ・装着していても周囲の人から入れ歯と気づかれにくい 【使用される素材の違い】 ポリアミド:非常に柔らかく痛みが出にくいが、修理がほぼできない。強く噛むとたわむ。 ポリエステル:適度な弾力。修理も可能でバランスが良い。 ポリカーボネート:スーツケースの素材としても有名。硬くて丈夫、修理も可能。 素材によって性質が大きく異なるため、噛む力・残っている歯の状態・審美性の希望などを考慮して選ぶことが重要です。 ■ その他の特殊な入れ歯 自費の入れ歯には、ほかにも様々な特殊構造があります。 磁石式入れ歯:残っている歯に磁石を埋め込み、入れ歯を強く安定させる方法。 アタッチメント義歯:バネの代わりに特殊な鍵(ロック装置)で固定し、見た目が自然。 コーヌスクローネ義歯:二重構造の冠で強固に固定し、非常に安定性が高い。 これらは構造が複雑なぶん、適合性や安定性が高く、見た目も自然です。 入れ歯は「作ったら終わり」ではありません どの種類の入れ歯を選んでも、入れ歯は一生ぴったりのままではありません。 理由は、お口の中の環境が常に変化していくためです。 歯ぐきの厚みが変わる 顎の骨がやせていく(加齢・噛む力の変化) 残っている歯の位置が少しずつ動く 入れ歯は硬い素材で作られているため、こうした変化に合わせて自然に形が変わることはありません。 その結果、数年使用すると… 入れ歯がカタカタ動く 歯ぐきが痛くなる 食事がしにくくなる という状態になります。 そのため、入れ歯に特に問題がなくても、定期的に歯科医院で調整することが非常に大切です。 調整のタイミングを逃してしまうと、歯ぐきが傷ついたり、かえって入れ歯が合わなくなることもあります。 壊れてしまった入れ歯はすぐに作れません 『まだ使えるから』『多少違和感があってもガマンすればいい』と思って無理に使い続けると、 いよいよ壊れてしまったときに、とても困ることになります。 新しい入れ歯を作るには、通常数週間の期間が必要です。 その間、入れ歯がない状態が続き、食事や会話に支障が出て大変ご不便をおかけしてしまいます。 そのため、入れ歯は『壊れる前に調整する』『不具合が小さいうちに相談する』ことが非常に重要です。 入れ歯は「体の一部」– 質の良い入れ歯を選ぶ大切さ 入れ歯は、単なる道具ではなく『自分の体の一部』になります。 毎日つけるものだからこそ、快適で、自信を持って使えることが大切です。 保険の入れ歯が悪い、というわけではありません。 しかし、生活スタイル・審美性・噛む力・お口の状態などによって、保険外の入れ歯がより快適に使える場合もあります。 どの入れ歯を選ぶかは、単に費用だけではなく、生活の質(QOL)にも大きく関わってきます。 遠慮なくご相談いただき、納得のいく選択を一緒にしていきましょう。 入れ歯は一生ものではありませんが、正しく作り、定期的に調整し、丁寧に使うことで、快適に長く使い続けることができます。 『入れ歯が合わない』『痛い』『目立たないものが欲しい』など、どんな小さなことでも構いませんので、お気軽に当院へご相談ください。 谷村歯科医院 ネット予約はこちらから 〒157-0072 東京都世田谷区祖師谷3-32-2 渡辺ビル2階 TEL:03-3789-8241 URL:https://tanimurashika.jp/ Googleマップ:https://maps.app.goo.gl/oAfUwBSwhy8V7bcp7
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インプラントのセミナーに参加しに広島に行ってきました!
こんにちは、谷村歯科医院 院長の谷村です。 今回は、先日参加してきたインプラントのハンズオンセミナーについて、少し詳しくご報告したいと思います。 普段の診療とはまた違った視点で学びを得られる貴重な機会でしたので、患者さまにも 「休診日には、こんな勉強をしているんだな」 と知っていただけたら嬉しいです。 広島で開催されたインプラントのハンズオンセミナー 昨日、『インプラントのハンズオンセミナー』に参加するため、広島まで行ってきました。 インプラント関連のセミナーは東京でももちろん頻繁に開催されていますが、今回は私の師匠の先生が長年使用しているインプラントメーカーが主催するセミナーで、しかも広島での開催ということで、『これはぜひ参加したい』と思い、急遽申し込みをしました。 前日の夜に診療が終わってその足で東京を出発し、広島まで移動。当日会場に到着すると、全国各地から集まった先生方がすでに多数いらっしゃり、みなさん真剣な表情で準備をされていました。 セミナーは座学だけでなく、実際に模型を使ってインプラントを埋入する実習(ハンズオン)がメインですので、机の上にはインプラント体や器具、ドリル、縫合用の道具などがずらりと並び、まさに『インプラントづくしの一日』といった雰囲気でした。 インプラントは100種類以上もある? 歯科用インプラントの種類は、国内メーカーと海外メーカーを合わせると、現在では100種類以上もあると言われています。 一見するとどれも似たように見えるかもしれませんが、実際にはネジの構造や表面加工、太さや長さ、骨との結合の仕方など、それぞれのメーカーごとに工夫が凝らされています。 今回のセミナーでは、アメリカの『スプライン(Spline)』というメーカーのインプラントシステムについて学びました。 スプラインインプラントは、特に『ネジの構造』が独特で、連結部分が緩みにくいように設計されているのが大きな特徴です。 インプラントは3つのパーツでできている インプラント治療というと、『顎の骨にチタンのネジを埋め込む』というイメージをお持ちの方も多いと思いますが、実はインプラントは大きく分けて3つのパーツから構成されています。 顎の骨に埋め込む本体(インプラント体) その上に立てる土台(アバットメント) 最終的にお口の中で見える被せ物(人工の歯・クラウン) インプラント体は一度骨としっかり結合してしまえば、通常は緩んだり動いたりすることはほとんどありません。 問題になりやすいのは、その上に取り付ける土台や被せ物の部分です。 土台と被せ物は、特殊なネジを使って固定されるのですが、このネジをただ手で締めるだけだと、長年の使用の中で少しずつ緩んでしまうことがあります。 そこで、締め付ける力(トルク)をコントロールできる専用の電動ドライバーを使い、決められた強さでネジを締めることで、緩みにくくなるよう工夫されています。 それでも、噛む力の強い方や、長期間経過したインプラントでは、ネジが緩んでしまうケースがゼロではありません。 今回学んだスプラインインプラントは、そのネジ部分の構造が従来とは少し異なっていて、理論上はより緩みにくい構造になっているとのことでした。 実際の症例の経過も見せていただき、とても興味深い内容でした。 インプラントメーカーごとの勉強が必要な理由 実は、歯科用インプラントはメーカー同士の互換性がほとんどありません。 ネジの形やサイズ、器具の規格などがメーカーごとに異なっているため、『どのメーカーでも同じ道具で大丈夫』というわけにはいかないのです。 そのため、新しいインプラントシステムを導入しようと思った場合は、必ずそのメーカーのセミナーや講習会に参加し、器具の扱い方や埋入手順、注意点などをしっかり学ぶ必要があります。 現在、インプラントの基本的な術式はほぼ確立されていて、大まかな流れはどのメーカーでも大きくは変わりませんが、骨の状態や歯ぐきの厚みなど、個々の症例に応じてミクロン単位の精度が求められる世界ですので、やはり細かな違いを理解しておくことがとても重要です。 広島までは東京から距離がありますが、こうした新しい情報を得るためには、全国どこであっても足を運ぶ価値があると考えています。 実際には、講習会やセミナーの多くは東京や大阪などの都市部で開催されることが多いのですが、今回のように地方でのセミナーに参加することで、その地域ならではの先生方との交流ができるのも、大きな魅力のひとつだと感じました。 今まで参加してきたインプラントセミナー これまでにも、私は様々なインプラントシステムのセミナーに参加してきました。 代表的なものとしては、世界的にもシェアの高い『ITIインプラント』、国内メーカーである京セラの『POI EXシステム』などがあります。 現在主流となっているインプラントはネジのような形をしていますが、20年以上前には、櫛(くし)の歯のような形をしたインプラントが使われていた時代もありました。 時代とともにインプラントの形や表面処理の技術は進化しており、『いかに骨と安定して長く共存できるか』『いかにトラブルを少なくできるか』を目指して、さまざまな改良が重ねられてきました。 勤務医時代に学んだインプラントの基礎 私が開業する前に勤務していた、東京・浜松町の世界貿易センタービル内の歯科医院では、院長先生がインプラント専門の先生でした。 その先生は、日本におけるインプラント治療の初期の創成期から携わってこられた方で、国内でのインプラント治療の歴史をつくってきたメンバーの一人でもあります。 その先生のもとで、多くのインプラント症例や、難しいケースの治療、長期経過を追っている患者さまの経過観察などを間近で見ることができたのは、私にとって非常に貴重な経験でした。 インプラント治療は、『埋めて終わり』ではなく、その後のメインテナンスや噛み合わせの調整などを含めて長くお付き合いしていくことが大切です。 その考え方の基礎は、この勤務医時代に学んだものが今も生きています。 今回のセミナーで得られたもの 今回のインプラントセミナーは、参加して本当に良かったと感じています。 講義では、スプラインインプラントの特徴や臨床での実際の使用方法、注意点などを詳しく聞くことができ、 実習では、模型を使って実際にインプラントを埋入するトレーニングや、縫合の練習など、非常に充実した内容でした。 参加されていた先生方は、若い先生からベテランの先生まで幅広く、皆さん真剣な表情で取り組んでおられました。 インプラント治療は高度な技術が要求される外科手術でもあるため、参加されている先生は男性が多い印象でしたが、最近は女性歯科医師の参加も少しずつ増えてきているように感じます。 講師の先生は、自己紹介の際に初めて知ったのですが、東京・目黒で開業されているインプラント専門医の先生でした。 私が『東京から広島まで来ました』とお伝えすると、とても驚かれていました。やはり、東京の先生が地方のセミナーに参加することはあまり多くないようです。 セミナー後には、講師の先生と個別にお話しする機会もあり、当院で扱っている症例の相談や、今後のインプラント治療の方向性についてアドバイスをいただくこともできました。 後日、メールでも質問に答えていただき、とても心強く感じています。 インプラント治療の役割と責任 インプラント治療は、『歯がしっかり残っている方』にとっては必要のない治療です。 しかし、むし歯や歯周病、外傷などで歯を失ってしまった方にとって、『しっかり噛むことができない』という状態は、精神的にも肉体的にも非常に大きな負担となります。 『人前で笑えない』『硬いものが食べられない』『入れ歯が合わなくて痛い』といった悩みを抱えて来院される患者さまは少なくありません。 そうした方に対して、インプラント治療はしっかりと噛める機能を回復し、自信を持って笑える口元を取り戻すための、非常に有効な選択肢の一つです。 もちろん、インプラント治療には外科的な処置が必要であり、治療期間も数ヶ月に及び、費用的な負担も決して小さくはありません。 術前の検査やシミュレーション、治療計画の立案、手術の精度、術後のメインテナンスなど、どの段階も手を抜くことができない治療です。 私たち歯科医師にとっても、インプラント治療は常に新しい知識と技術のアップデートが求められます。 そのため、このようなセミナーや講習会への参加は欠かすことができませんし、患者さまに安心して治療を受けていただくためにも、日々勉強を続ける必要があります。 これからも患者さまのために 今回の広島でのハンズオンセミナーは、私にとって非常に刺激的で、学びの多い一日となりました。 新しいインプラントシステムについての理解が深まっただけでなく、全国の先生方との交流を通して、多くの気づきやヒントを得ることができました。 インプラント治療は、すべての方に必要な治療ではありませんが、必要としている方にとっては、人生を大きく前向きに変える力のある治療だと感じています。 その分、責任も大きい治療ですので、一つひとつの症例に真剣に向き合いながら、これからも日々精進していきたいと思います。 当院では、インプラント治療についてのご相談も随時受け付けております。 『自分にはインプラントが合うのか知りたい』 『今の入れ歯に悩んでいる』 『ブリッジ以外の選択肢を知りたい』 など、気になることがあれば、どうぞお気軽にご相談ください。 今回学んだこともしっかりと診療に還元しながら、これからも皆さまのお口の健康を守るお手伝いができればと思います。 谷村歯科医院 ネット予約はこちらから 〒157-0072 東京都世田谷区祖師谷3-32-2 渡辺ビル2階 TEL:03-3789-8241 URL:https://tanimurashika.jp/ Googleマップ:https://maps.app.goo.gl/oAfUwBSwhy8V7bcp7